「再婚相手をぶっとばせ!!」レビュー。

再婚相手をぶっとばせ!! (白泉社花丸文庫)

再婚相手をぶっとばせ!! (白泉社花丸文庫)

[rakuten:book:12737903:detail]
地味に絵師・橋本あおいさん好きです。

  • あらすじ。

『はっきり言って、大っきらいなタイプ』母親の再婚相手は、まず外見が水仙の敵だった。容姿端麗、爽やかな笑顔。そのうえ年齢が水仙とほとんど変わらず、定職にもついていない。そんな相手・佐藤白虎とふたりきりでお試し同居という青天の霹靂に、水仙は拒否感120%!けれど、その料理の腕前や人生観を知るにつれ、次第に好意しか抱けなくなってしまい…。―白虎さんと仲よくするのは、誰のため?未来の家族との、超ドキドキ・親睦生活♥

  • 帯。

一緒にシャワー? 後悔しない?

花丸|白泉社

BLレビュー。

自由奔放、闊達で変り者な母を実は尊敬さえしている主人公水仙。その母の再婚相手と思しき若い男(イケメン)が、ほとんど事前説明ナシに同居しに来て・・・、しかしその男は優れたルックスで、己の容姿が中性的ゆえに好きな女性に「男として」見てもらえないというコンプレックスを刺激される。この『受け=中性的(≒女性的?)』という図は、おそらく森本あきさんの基本設定かと。そして、当人はそれを受け入れていない素振りを強調するが、これも所謂女性の「なりチャ」仕様の『受け』像か?
突発的な事故に見舞われて当惑するかと思いきや、母譲りの順応性か受けは案外すんなりと懐柔されるのだが、それは“食事”という道具によるもので、かつてレビューしたお熱いうちに召しあがれ (プリズム文庫)と同じく、「美味しい食事を通じてコミュニケーションを取る二人だが・・・」という構図。妙にしつこく五感・個性的主観性を見せる所が森本流の理屈っぽさだと思うのですが、今回キャラのしつこさが顕著なのは物語の中盤まで。マイペースで優しげだけど意外にSッ気のある攻め様な白虎(「びゃっこ」!)も、気ままなフリーターで「飽きない仕事」を探すのが目標だと独自の(と言う程でも無いのだけど)人生観を語るものの、物語りの後半では受けのコンプレックスと共にその煩さが影に潜む。
受けが体を許した途端に急直下する二人の愛の発達は、その変貌振りからちょっと読者を唖然とさせるのだけど、しかしこの受けの男性性コンプレックスは所詮再婚相手との<格闘→馴れ合い>のための呼び水なので、恋を自覚した途端乙女チックなメロドラマへと質を換えるのは予定調和かと。この寝た後の変貌振りというか、攻めラブなせいでやたらと抱く側の男にとって都合のいい“許す存在”になっちゃうのは、森本カップルらしい甘い関係性を成り立たせるためにアリだと私は思う。のだけど、正直この唐突な許しモードが鼻につくのも事実。ここまで好都合で急ピッチな出来レースだと、二人の<紆余曲折→ネタ明かし>部分が薄味に感じたりして・・・。二人とも自分の名前にちょっとした逸話があるけれど、それも余分な話だったかも。でもま、それも味と言えば味v
あと、受けと攻めには、微妙にゲイアイデンティティ敬遠臭い部分もあったかも。けれど、男らしさの定義を面白くかく乱する部分もあった。結局は、二人ともホモフォビックな態度はあったかもしれないのだけど、中にはそういう面白さも見えたりして…。「かわいい」と言われたがったり「男の甲斐性」を都合よく利用したり。
そして、家族は「変人だから二人の関係を許容できる」という感じでした…。むー。

ところで皆さんはどのあたりからこの攻めの正体に勘付きました?私は150Pの「家族になるんだから」リピートですw

そうそう、どうでも良い他所事ですが、書店で買ったらなぜかしおりが3枚も。いや、花丸文庫って元々しおりついてるから3枚もいらないのだけど・・・。というか、私軽く先端恐怖症なのであまり尖った紙を入れるのは勘
弁して欲しい。