モノモノしい愛ほど単純では?

思へば乱るる朱鷺色の (二見シャレード文庫)

思へば乱るる朱鷺色の (二見シャレード文庫)

Hがえろーい。好きなプレイ〜。私はこういう押し問答みたいな、ゆっくり追い込まれてついには思惑通り落とされるってHが好き!しかも、事情つきだけど受けがマゾ!(どうせ本性なんでそ?)


そのワリにはイラストが質素だけど妙に合ってるのでよし!
ただ、キャラクタに独り言が多すぎる。独り言で三個くらいフレーズ読み上げちゃってるよ。しかもアンニュイに。たとえば。
以下ネタバレ。
(注:直下ホモフォビア。)

変態という言葉が頭に浮かんだくらいショックだった。もちろんそういう人種がいることはメディアを通して知っていた。けれどそれは自分がいる世界とは違う世界のことだと、無意識に思っていた。ああいう人たちは特殊なんだと、なにかよっぽどのことがあってそんなふうになってしまったのだと、……普通の人ではないのだと、思っていたのだ。
「そのフツーやない人になっちゃったわけやん。自分が異常なんやっていうことは、絶対に人に知られたらあかんて思って、やから雄大に気持ちを告げるどころか、苦しい恋を誰かに相談することもできひんかったし。」

(はーい、まあ一資料として載せておきます。)

あと、受けがあんまり隙ありすぎて攻めにいいように手の中で遊ばれてる臭い。受け自体が抜けててさ。ゲイとしての自己肯定度の低さの表れと云うことかもしれないがちょっとお頭が弱そうで、攻めにやり込められすぎな受けが嫌いな人には向かないかも。


ちなみに受けは同性愛者と云うことで、そして初恋の攻めのことずっと想ってて他に恋をしていない子。
「バカな子ほど可愛いって言うけど、朱鷺はメチャクチャ可愛いよ」からわかるように、攻めにたんまりと可愛がられる話はーと。

かつて大学在学中、ある事件をきっかけに友人たちから避けられるようになった朱鷺。過去を捨て、東京に出てwebデザイナーとなった今も、想いを寄せていた同級生の雄大を忘れることが出来ず、金持ちの男に暴力的に抱かれることでどうにか自分を鎮めてきた。だがある日、そんな朱鷺の家に突然雄大がやってくる。必死で追い返そうとするものの、雄大はそのままマンションに居つき同居生活が始まってしまう。
拭い去れない過去への罪悪感から、訪ねてきた理由を聞くこともできず、苦しさを持て余した朱鷺は再び男のもとへと出かけてゆくが…。もどかしくも狂おしい、スウィート・ラブ!書き下ろし続編「みちゆきは戀ふて美し」収録。

私はこの二人のやり取りが全て性的に見えた。というか、ストーリーがその性的な展開に巧く結び付けられててどこかムーディーな感じ。実際Hシーンも・・・。(ふたりでご飯食ってる時もそんな調子なのー。攻めの甘い言葉に戸惑いごまかすんだけど、攻めに巧みに扱われちゃって卑猥で甘いムードに・・・。まあ実際に読んでみなさいって!どういう甘いやり取りか一目瞭然ですから!)


ここでキーなのは、受けが昔の話題に触れたがらないあまり、攻めが何故同居を持ち出したのかを聞けずに居る点。そして、本気で言い訳が通用してると思い込んでるアホ受けが攻めとパターンなやり取りをしてる点。

雄大は、いやや…っ」
「どうして?一晩だけの相手なら誰でもいいんだろ?なんで俺じゃダメなんだ?」
「ゆうだ…っ」
「ん、朱鷺?どうして俺じゃダメなんだ?言えよ」
[…]
雄大だけはいやや…っ」
「だから、どうして?」
真上から雄大が見つめてくる。朱鷺を押さえつけている、こんなときでも優しい微笑。
雄大が、好きや。雄大が好きやから、雄大に抱かれたら、もう雄大なしやと生きていけへんようになる。やから、雄大にだけは抱かれたないんや。

で、受けはマゾなのを理由にひどくしたらいいよーとか言い訳しちゃって。で、自分の本心や疑問から逃げるように自分を物のように扱って欲しいとか思っちゃう。要するに、自分を物のように扱ってもらうことで、「相手に自分への執着などない」と期待を振りほどこうとするみたいな感じ。

しかし!もうこれが、攻めがやたらに受けを愛しそうに抱くもんだから、受けもたまらんのよね〜。優しくしないでー〜w
正直にならない受けに何度も何度も感じてる?とか聞いちゃって!!かーわぃい*すっごい感じさせられた受けはもうメロメロー。
正直にならない限り、雄大の手は止まらないというのに。いや、言ったとしてもその先には・・・。むふふ。


嘘を見抜かれてるのに嘘をついてごまかそうとする。それによって、攻めに手ごまにさせられて本音を探られつつ追い立てられるというエロス!きゃー。

この攻めはスケベさんだなぁ。
後半も、バカなこと言い出した受けが、攻めの戦略にて宥められるの図。
結婚をいづれしないといけない立場の攻め。その攻めを思いやったつもりで「結婚して子供作って。そして僕を愛人に!」みたいな事を言い出す。それに攻めが怒るんだけども・・・。

「朱鷺。おまえ、恋をしたのは俺が初めてだから、わかってないんだ。自分を愛してくれた人間がほかの誰かに目を向けるってことが、どんなに苦しいか、わかってない。・・・」

息ができなくて苦しい。苦しい……苦しい。こんなに苦しいなんて知らなかった。愛している男を、ほかの誰かと共有するなんてできるはずがなかった。独り占めしていた愛を、たとえひとかけらでも誰かに分けるなんてできっこなかった。愛はそんなに簡単なものじゃない。

愛が誰とも共有できない一対一のものなら、それほど単純なものもないのではないだろうか?

[rakuten:book:11971012:detail]
4人でラブラブ・・・。4P、か。(←違う)双子の話でした。双子相思相愛な感じなんだけど、兄弟愛とそれぞれのカプでの愛とが少しだけ間で揺れ動く。

これね、後半のショートストーリー面白かったよ。ちょっち薄味だったけど、可愛らしい高校生達でしたぁ。

(「―綾人の言う通りだ 久高を好きな俺と光流を守りたい俺が二人いて 俺1人の許容量に俺が二人も入るわけないから 何もかも中途半端になるんだ ―だからって どちらか片方だけなんて)
「…選べるわけないじゃん…」
「別に選ばなくてもいいよ」
「…久高…!」
[…]
「―久高と光流 どっちかなんて選べない こんなワガママで欲張りな奴でゴメンな」
「んー?別にいいよ 前にも言ったけどお前がそんな風に弟を大事にしてる所も好きだし」
[…]
―まだ 光流の手を放すことはできないけど いつか久高だけを見ていける日が来るといい


確かに、今まで自分を支えてくれるために居てくれた人が、ほかの誰かに目を向けるのは不安をよぎらせる。そうする側にも何らかの重みはあるのかもしれない。でも、私は、一対一の愛というそれを、愛の方程式にしないで、二人の絆の結び方と思って大事にしていってもらいたいな。


最後雄大と朱鷺は、決心をつける事を選ぶ。それは、二人の未来を築く決心だ。




(チョット臭いな・・・。)