ホクホク卵は美味しい。

唯月一さんのキャラデザは可愛いナァ・・・。

お熱いうちに召しあがれ (プリズム文庫)

お熱いうちに召しあがれ (プリズム文庫)

なんというか、手ごろなランチを頂いた感じ☆好きだぁ。
あらすじ。

慧太は、都内で家賃三万円のボロアパートに暮らす貧乏大学生。バイトも大変だけど、目下の悩みは…隣人・大輝の部屋が恐ろしいほど汚いこと。見かねて掃除をかって出た慧太だが、ある日、掃除中に起きた恐ろしい出来事に気絶してしまい、お詫びとして大輝のやっている洋食店でご馳走してもらうことになる。店での大輝は、ずぼらな私生活からは想像もつかないほど凛々しく、出されたポークソテーの味は…!!!
可愛くっていじらしいピュアラブin洋食店

洋食店、の後では当然ハートマークが付く。

と云うか、正にあらすじのとおりのような話であって、それ以外はどうこう解説することでもないお話の内容なんですが・・・。BLとはとかく人の嗜好によって評価が異なります。そして、ただ萌要素がそこにあるのなら、それだけで単なるポークソテーも美味なる作品となりますのです。
私はこういう、可愛い系の受けと精悍な野性味のある攻めとの組み合わせがすきなの!もうそれだけでただの銀シャリも美味しくいただけるってもんですよ。
話の内容はー、受けと攻めが部屋の管理についてあれやこれやと言い争ってー(ほぼ綺麗好きの受けがまくし立てて攻めはやんわりと受け流す形だが)性格あわなさそうだったけど実は相性がなかなか悪くなくってー気づいてたらお互いのいいところを知るようになってー相手とのやり取りが楽しかったり嬉しかったりしてー攻めには父との確執があってーただのずぼらではなくて悩みがあってーでも受けは相手との距離を計りながらもちゃんとしっかりと受け止めてーでも少し行き違いがあってギクシャクするけど後で誤解を解いて和解してーそしてふたりラブラブ!みたいな話。


なんだけどそういう好き系のカプがあまり難しすぎないくらいに惹かれあって近づいて思い合うってのが素敵なんだよー!
以下ネタバレ注意。
ふたりは以前はただの迷惑でずぼらな隣人、お節介で怒りっぽい元気な隣人ってだけだったんだけど、お互いの大事なものやお互いの心の形を、掃除する代わりに食事を作ってやるという触れ合いにより知っていくようになる。そこで、お互いのことを親しく思うようになり、互いが大切だなぁとしみじみ思うようになるんだな。料理を笑顔で食ってくれる受け。料理に情熱を持ち実は繊細だけど信念のある攻め。良さを認め合うふたり。
ふたりは本当に相性がいい。無闇に切り込んではいけない領域をわかっているし、現実的な人間関係を築きながらも親密な距離を持ち合う。それだけの相性のよさが素敵。
で、攻めのいざこざの渦中の中、信頼関係を築いていく二人が、なんの男同士の欲望について複線もなしに、

 「なあ、慧太」
 腕の中で、大輝がつぶやいた。慧太は、ん? と聞き返す。
 「やらせてくんね?」
 何を、と聞かなくても、分かった。
 でも、俺、男だよ、とか。
 傷ついたから、だれかの温もりがほしいだけでしょ、とか。
 もっと根本的に、いやだ、とか。
 そうやって断ってもよかったのだけれど。
 「…俺、初めてだからどうしていいか分からないけど、いいの?」
 言葉にしたのは、それだった。大輝が驚いたように、顔を上げる。
 「何?だって、俺、まだ十八だよ。何もしたことなくても、おかしくなくない?」
 「いや、そうじゃなくてさ」
 大輝がまじまじと慧太を見つめた。
 「いいのか?」
 「よくない、て答えたら、やめてくれる?」
 大輝は目を閉じて、考え込む。しばらくたって、うん、と声に出した。
 「無理だな。やめねえ」
 「じゃあ、聞かないでよ」

となる・・・。
これは、二人の信頼が、性的な色をはらんでも構わないと言葉にしたことなんだ。この時点では、お互いに恋をして居るとはなっていないけれど、確実に二人の間には何かが芽生えている。


私が求めちゃうのはさぁ、こういう男同士の関係の難しいところにあんまりこだわらない、ただお互いのことを想っているんだなぁ慕っているんだなぁという雰囲気なんだよね。
単純に相手のことを切に想う。そういうやり取りが、やっぱり読んでて心地よい。
BLはやっぱりこういうのがいいところでもあるんだよなぁ!!男と男の純粋な絆の結われが、単純にときめいちゃうんだよなぁ。それが美味しいんだよ。それが美味しければBLはそれだけで素敵。


この作品の色調は、最初のプロローグが示すとおり。

 デミグラスソースがかかったシンプルなハンバーグが好き。ふわふわ卵と熱々チキンライスのオムライスが好き。丁寧に作られたホワイトソースが口いっぱいに広がるエビグラタンが好き。
 だけど、あなたが作ってくれるおいしいごはんよりも。
 あなた自身が、もっともっと大好き。


ランチのようなときめき、美味しゅうございました。