あんたの大事なのはどれかな。

言っとくけど、あんぱんと牛乳の組み合わせは絶大優良だからな。[rakuten:chuoshoten:10010504:detail]
全然更新できてないのです。けれど、それは気合の入れた更新をしたいがゆえにもにょもにょしてるからのですね。けれど、そうすると、かえって更新できなくなってる自分が居るので、とりあえず何書くか迷っててもレビューすることにします。

ほんの少しでもあなたの心に俺がいるといのに・・・
色街シリーズ究極のラブロマンス 夕霧&常盤編ついに完結!
初めて好きになった人とひとときの安らぎすら望む事は赦されないのでしょうか?
さらなる過酷な運命がふたりを待ち受ける―
夕霧&常盤編完結記念書き下ろし小冊子応募者全員サービス!!詳しくは帯の裏側を読んでね。

読みきりショートや制作秘話が掲載された小冊子(詳細は未定らしい)が2007年7月25日までの締め切りで応募できるらしいです。そのためにはこのコミックスの応募券と雑誌Hertz band,19か20の応募券が必要らしいです。ええ、私はそういうのは応募しません。
あらすじ。

夢のみちゆき*あらすじ
男たちが一夜の夢を買う傾城屋「玉鈴楼」で働く色子・夕霧は戦場で傷を負った兵士・常盤を助ける。仇討ちのみを生きる支えとする常盤に、少しずつ惹かれていく夕霧。そんな折、常盤は宿敵「黄虎団」の手掛かりを掴み・・・。
夕霧&常盤編 ついに完結!!

さすがは人気作家だけあって、BLですが仇討ちなどのストーリー性もそれなりに読み応えがあります。(けど、私この作家さんの価値感どうも合わないんだよなぁ
このコミックスは色街シリーズの第4作目。3作目は彼等の出会いと、常盤に恋をしだす夕霧の触れ合いが描かれてます。それの続きね。
夕霧はね、黄虎団によって妻を殺されてしまった夫・常盤が、夕霧の住む色街で行き倒れていたところを助けたのです。で、夕霧にはお客の一人である緋星(お偉いさんのボンクラな息子)に愛されてるのです。その緋星(あけぼし)はお偉いさんなので、けっこう情報を持っています。そして偶然緋星は常盤の宿敵黄虎団の情報を持っていたのです。どうやら黄虎団は常盤とその妻・夕の里だけではなく、そこらじゅうで残忍非道な行いをしていたらしいのです。そして黄虎団の討伐が行われるようになるのですが、それに参加できるようになった常盤が、戦に出て行くところから4作目の話が進みます。
じゃあ以下ネタバレ。

夕霧は他の男に抱かれながらも常盤に思いをつのらせ、そして恨みを持ち復讐のためなら死をもいとわ常盤の身をあんじる健気受け。常盤は朴念仁っぽいけど、腕っ節強くてちょっとへたれっぽい攻め。

残念だったのがさ、一体このふたりどうやってくっ付くのかなぁと思ってたら、案外後半で「実は好き合っていた!」て感じでうまく行くあたりかな?
(そのために、なのか)常盤は復讐の鬼になってますが、それは妻の夕を愛してたからではなく、妹のように大事だった家族を残忍な方法で殺されたから復讐の鬼になってる、ということだった、と表現されてます。つまり、愛妻だったのではなく、家族愛的に大事だった幼馴染を殺された恨みだったと言うわけ。そうすることにより、常盤が夕霧を愛してしまうことのハードルを退かせたことになると思う。
実は妹のように可愛がってただけで(女を娶らなくちゃいけないしで)奥さんのこと愛してたわけじゃなくって、本当は夕霧の事に惹かれてたんだよー、的なね。

最後らへんそういう感じに、妻の事よりも本当は夕霧が大切だったんだー、的な話に纏まってるのです。それがちょっと好みじゃなかったカナ。

でも私、実は妹みたいにーとか、家族みたいにーとかいう関係好きです。恋慕の情以外の絆がすきなんですよね、私。
男女の間には常に性的な愛情ばかりを読み取られて、男同士の絆のような情とかが「ない」かのように語られるじゃないですか?でも、常盤と夕の間にはもしかしたらそういう絆があったのかなーと思うとワクワクしたけど・・・でもBLなのでそこらへんはナシの方向でした・・・。仕方ないですね;
でも、最後に夕霧と常盤が結ばれて、その仲睦まじい感じはふたりの間にそういう絆みたいなものが感じられる雰囲気だったので、そこらへん美味しかったです。
男同士ってやっぱりね、傍目ではいちゃこいてても友情なんだか愛情なんだかはっきりしないんですよねー。それはつまり、私たちがそういう風にまなざす価値感を社会的に学んでるからなんだけども・・・。でも、私はそういう雰囲気をかもし出しつつも、ふたりならではの愛情を紡いでる感じが好きなので、やっぱり男同士のいちゃこいてる姿は好きですわ〜^^
夕との間では描かれなかった、絆としての情が、夕霧との間で描かれたような気がして嬉しかったです。

メモ

討伐の旅の途中、常盤とシリーズ一作目から登場する珊瑚が、町の妾(?)から色を買うよう誘われるシーン。

「元同業者としてはちょっと複雑だな」
「誘われた事がか?」
「それもだけど こういう小さな町の普通の酒場にも色を売る人がいるんだなと思って」
「知らなかったのか」
「うん 俺は生まれも育ちもあの色街だから あそこみたいに廓内の身世でしか売春はなされてないと思ってた でも囲われた街でなくてもいるんだな――― 男がいるところなら成り立つ商売だってことはわかってたけど 世の中どうかしてる」
「どんな状況下でも売る側の人の理由はきっとみんな似たようなもんなんだろうな」
真っ暗なこの世で夢など見る術もなく――・・・

私はどんな状況下でも似たようなもの、だとは思わないけどなー。現代での売春をする人々の理由は様々だろうしさ。女子高生の援助交際が色々論じられてるけれど、それ抜きにしても、人々の暮らしぶりが様々で、そして色んな事情を抱えた人達が存在するんだから、「似たようなもの」と言ってしまうと、多様であるはずの人達を無理に一般化してしまう暴論にならないかな?世の中には色んな立場、色んな状況下にいる人々が居るのだから、その人達の“行為”だけを読み取ることによりそれぞれの差異を視ないようにしちゃうのはやめたほうがよいような・・・。
あと、女だってそれなりに買春をしていた歴史はあるみたいですよ?江戸時代の男娼相手にね。

今回歴代のキャラ以外にも脇キャラが結構出てきたのですが、その脇キャラが討伐遠征の際に女を買って情報を得てるところのシーン。

「ねえあなた 妾と上で楽しまない? いいことして ア・ゲ・ル」
「じゃ!」
行くのか!?
「朔の事は本気じゃなかったのかあの人」

と快く買春します。
(アゲルの後にハートマーク。

「―と 何をしておいでで?」
「さっきは妾だけ善くして貰ったから今度は一緒にね」
「いえいえ たまにはご奉仕されるだけってのもいいでしょう」
「あん そーいうシュミの人なのー?」

(一応これでも一棒一穴主義なんです)

(一緒にねの後にハートマーク。あんの後にハートマーク。
えーと、この脇キャラには他に愛してる少年が居るらしいのですね。その子とのために貞操を守ったと言うことらしい。
へー、ほーん。一棒一穴主義なんて言葉あるんですかぁー?
挿入さえしてなきゃ貞操は守られてる、だなんてなんだかよくわからん理屈です(やってりゃ変わんないでしょうがー)。モノガマスな人も色々な価値感がおありのようで大変ですな。

あと、あとがきにも、緋星と常盤が「晴れて穴兄弟になった」みたいな表現されてたのですが(しらっとした顔で夕霧は「その表現は嬉しくないですー」と言っていたのがおもろかった)、本当「穴兄弟」ってなんなんだろう・・・。いや、理解したくもないから教わろうとは思わないけどさ・・・。