男たちの恋と恋〜。

きぇー!男がある男に恋してその男もまた恋して、他の男も他の男に恋をしているー!るー!

シグナル (花音コミックス)

シグナル (花音コミックス)

作家さん、一冊目のコミックスより進化できてるかなーて仰ってますが、より美味しくなってます!
帯。

貴方を独占できるのは月に一度だけ―
年下会社員×クールなバーオーナー 駆け引きラブ

オーナーの後にハートマーク。
あらすじ。

月に一度だけ注文できる特別なカクテル。それはバーのオーナー・葦原とベッドを共にできる合図―。
会社の先輩に葦原の店を紹介された村上もまた、平凡なサラリーマン生活を一転させる関係を葦原と持つことになった。
クールで手馴れた葦原に振り回されながらも彼への思いを募らせる村上。
しかし大勢の中の一人でいることに限界が来ていた―。
胸が疼く青春ラブストーリー 書下ろしをプラスして登場!

ラブストーリーの後ハートマーク。
試し読みもあるお!
http://houbunsha.com/hanaoto/see804.html

BLレビュー。

ところで、シグナルシリーズが大半なんだけど、最後の方は花音一冊目コミックス『足りない時間』の渋谷と三上の話もあるよ!素直になれなくてどこかもがくような恋をするライバル関係(だけどセックスする)の高校生たち〜。
攻めがー攻めがー!ヘタレワンコ気味の必死こきなおばかチャンだー!!ひぃ〜!可愛すぎるぞー。
まず話のテンポがいいね。キャラクタの個性がとてもしっかりたっていて、魅力的。ショーコさんの漫画って、最後の余韻をさりげに持たすエンドマーク付けるんだよね。それがちょっぴり大人テイストなストーリーに味わい深さを生んでるかも。
攻めがね、もう表情豊かで、可愛らしいんだわ。姿は大人なのに、なんだか子供みたいな印象の人です。受けの気まぐれに浮かれたり沈んだりと振り回されてる。受けもホラー映画なら見れるけど基本映画嫌いで、セックスにいたっては「する気なくした」と言って攻めたんをあしらう身勝手さん。しかも、勃起ちんぽを見て「見苦しいから抜いてくれば?」とか言っちゃうのです・・・。うぅ。
脇キャラたちも立ってます。恋をしてるんだなぁ、仕事してるんだなぁ、とか。それぞれの人生観を描くから、人となりがわかるのよね。そういうのが、「ああ、恋してるんだなぁ」と思った。なんかそれがよかった。(これもバラード聴きながら略
エッチも、そういう好き合ってるんだナァて印象が先にあるので、ムーディーさもあり、ときめく高揚感があるんだー。

ところで、私も受けの芦原さんと同意見で、攻めたんはいきがって髪を立てたりしないで下ろしてる方が似合ってると思う。いやでも、その似合わない感がまた可愛いよねー。ほら、童顔が余計に強調されるっつーかw
でね!でね!村上ったら、「芦原さん」て声かけるときも犬みたいにアホっぽいのに、困ったときや真剣なときに眉毛八の字にして「あしはらさ〜ん」てひらがなになっちゃってるんだよ。もうなんか愛らしい攻めだったー。
以下ネタバレ。

攻めたんはね、目が子供みたいなんだよ。性根が素直なんだよ。ちょっと見じゃわからないかもだけど、彼等とのやり取りから見える攻めたんの人間性と云うのは、どこか貴重なもので。
受けや受けの同級生たち。彼等は攻めたんの存在により、少し変わってきてるような感じだ。村上という後輩を持った田町。村上という男に一目ぼれされた葦原。そして、間男臭い榊も。
田町と葦原のシーン。

「村上ちょっと面白いよなー これといって特徴がある訳じゃないけど なんつーか なんてゆーか」
「素直なんだよ」
「あっそうそう!それよそれ!」
「俺やお前みたいにひねくれてないの 子供みたい」
[・・・]
「そういや村上が言ってたな お前のそういうとこ好きだって」
「?」
「そーやって思ってることたれ流すとこだよ」
「言ってもムダな人には言わないよ」
「そうだけど ほんとのこと言われてショック受ける奴は多いんだよ」
「・・・・・・?じゃあその人は一生本当のことを知らないまま生まれてそして死んでいくわけ?」
「そりゃ極論だろー」

葦原・・・。
でも私も同じ事を考えたりします。知らないまま死んでいくのってどうなんだろうって。でも、それってなんだか考えが幼い。
葦原は村上に対して不器用になる感情をよくわからないでいる。けれど、村上と一緒にいて確かに変わっていく葦原。お互い、擦れ違う部分もあるけれど、擦れ違い向き合い直して、また幸せを深まらせていく二人の恋(?)は、とても素敵でした。

よかったのが、恋一辺倒じゃなかったって所かな。仕事も好きで、村上も好き。そんな葦原には共感がもてるし、恋ってそれだけ食ってればいいってもんでもないからね。
ツボはこれ。攻めたんの葦原への罵声。

「わがまま!! もう芦原さんなんか知らないです!!」

かぁ〜わいー。

nodada's eye

「最近・・・ 忙しいってなかなか会ってくれないですよね 電話してもいつも出ないしメールだってほとんど返信くれないし」
「ちょっ・・・」
「この間だって―せっかく誘った映画なのにすぐ寝ちゃうし」
「なにそれ くだらない 女じゃあるまいしなんでそんな事でスネるのか全然わかんない 大体俺言ったよね? 映画嫌いだって!」

あの時 俺は どんな顔して葦原さんのことを見ていたんだろう
「女じゃあるまいし」
もしかしたら いつの間にか手に入れたと思って安心して 女扱いしてた?

?逆じゃないのか?え?村上が「女みたいなこと」を言ったのに、村上が葦原を「女扱い」してたの?
このシーンは、少し互いの距離が近づいてきて、しかしその距離が擦れ違いを生んでるシーンだ。葦原は前の「カクテルを頼んだら客と寝る」というゲームをしていた頃のほうがよかったという。「その時のほうが村上君のことわかるような気がしてた」と言って。

もしかしたら「男女」=恋という図式が葦原にはあって、まるで男女の痴話げんかのようなことを言う村上に苛立ったのかも知れない。葦原は村上と「恋」をしたくはなかったのかもしれない。だから、微妙な距離の関係にありたかった。その微妙な磁場を、男女の痴話げんかのようなやり取りをするような、そんな類の「執着」で壊したくはなかった・・・?
けれど、そういう恋とかの枠組みは横に置いたまま、彼等は彼等なりの「付き合い方」をしていく。

「気になるから榊さんにうるさいって牽制してくれたんですよね 気になって落ち着かないから距離置こうとしたんですよね!?」
「会うとケンカになるから・・・」
「でもそういうのがないときっとあっという間に終わるんです 俺の学生の話とか家族の話とか これから沢山話しますから 芦原さんのことももっと――・・・ もっと・・・ 面倒だけど努力してください」

「そしてできれば・・・・・・映画も寝ないでください」
「・・・・・・それはムリだと思う」

こういうのが、BLらしい萌なのかも。