数珠つながりの想いに感動ー。

10日のBLコミックスでは、一番面白かったです。
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あらすじ。

「ジブンも一人か…俺と一緒やな」たった一輪咲く新種の花のように孤独だった転校生の忍は、太陽みたいな同級生の雪人に恋をした。胸の痛むはじめての切ない恋。甘く苛まれる忍に突然「花」が咲いた…!? 愛を語る花の奇跡を描く感動名作、謎解き編有。

BLレビュー。

うくく。前作の「クレシェンド」もそうだったけど、この作家さん高校生を割りと多くお描きになられる方なのかしら。高校生スキー+切ない恋ストーリー好きなので、美味しかったです。
全体的に胸きゅん…。私はどうやら情緒たっぷり目な作品が好きみたいです。そして、本作はほんのりとソフトに不思議系。そう難しい展開ではないのだけど、人の温もりを感じる作風でとても素敵だと思いました。オススメー。

ネタバレなの…。

あのね、本作では、ある日突然首に花を咲かせてしまった少年・忍とその親友・雪人の話がメインなの。
忍はね、今はもうダム建設で埋もれてしまった村出身の子だった。その村で、忍はあるおっちゃんと仲良しだった。そのおっちゃんは、新種の花を作ってる人なのね。でも、その新種の花は一輪しか咲かなかった。おっちゃんは、けれど忍に言います。

「…なんかな この花一人しかいてへんやん …なんか なんかな ……俺と同しに見えてもうてん」

「ほな… 忍のためにも絶対増やしたるわ …成功するかわからんけど ええ考えがあるんや」
「…ホンマに?」
「ドーンとまかせとき」
「わー!!がんばってなー!!!」

そう言っておっちゃんは笑い 山が色付いてきたその年の秋 30代後半という若さで他界した

ここからお話は始まっていったのね。
で、このおっちゃんと(病気療養のため村にやって来た)信哉との、昔のお話が、「首に花が咲く」ことについての謎解き編になってるのね。

あとね、更にこのコミックスではnotBLの話も含めていくつかあるのね。
全部言うと、
忍と雪人。おっちゃん(和志)と信哉。忍と雪人にちょっとだけ関わる同級生、花屋の息子の成沢。いちごの精・いちごちゃんと将哉、と、文旦の精・ブンタ。学生のユウヤと学食の食堂で働く小川。軍隊の小隊長セルリエとそこの兵士のクロード。
この人達の話なんだけどね。
花シリーズもだけど、最後のセルリエとクロードの(notBL)話もね、ちょっと共通性あると思いました。

というのも、花のシリーズはね、誰かの想いが誰かの想いに繋がって、花が咲く。というストーリーだと思うのね。
そして、セルリエとクロードの話はね、(少し悲しいハッピー?エンドだけど)これも誰かの想いが、どこかに繋がってるストーリーだと思うのです。

「…しかし クロードが子持ちでお前より年上の私がまだ独身とは情け無いな」
「おいくつなんですか」
「25」
「セルリエ隊長でしたら引く手あまたでしょうに」
「はは そんな事はない このままだと生涯独身だな」
「では その時は 私と娘と三人で暮らして一緒に花火を見ませんか きっと 楽しいですよ」
「…笑えん冗談だな」

実は最後はその「冗談」は半ば叶えられなかったんだけど、でもその後、セルリエはクロードの娘の親になったのね。


花シリーズは、不思議なことに(村出身の者限定で)首に花が咲く。
その花は、実はおっちゃんと信哉の想いが込められてるのね。そしてそれはちゃんと届くのね。誰かの想いが、他の誰かの想いに繋がっていく。ていうこのお話は、とても温もりがあってよいなぁと思いました。
クロードの想い(「冗談」)も、形半分だけど叶えられて、娘とセルリエの二人に大切なものを築かせてくれるのね。

想いが二人の中で閉じちゃうような話じゃなくって、そういう広く繋がりあう話の構成になってて素敵でした。
そうだよね、そうだよねー!(たとえば)子から子へ、ていう形以外にも、いっぱい想いが“繋がる”ってことはあるもんね!不思議ストーリーな花シリーズも、クロードとセルリエの一生のお話も、そういう温もりの感じられる作品でよかったー。


他のお話も、なんだか笑えたりほんわかしたり、面白かったですよー。ほんのりほんわかする作品でした。