ゲイ恋はハッピーエンドでよろしく!
お久しゅうございます、皆様。
- 作者: 倫敦巴里子
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2007/08/15
- メディア: コミック
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あらすじ。
感じすぎて、死なないでくれよ?
青井拓馬・25歳。優しい恋人に愛されてるのに、なんだか満たされない日々。そんな時、落し物のメガネを拾った青井の前に突然現れた謎のメガネ青年。『恋のキューピッド』と名乗るソイツのテクに不本意ながら感じてしまう青井だったが…!? 男子たちの恋愛的日常を描く、著者初コミックス登場!
帯
天国まで連れってってあげよう。
東に恋(というかH)に悩む会社員あれば、行って激しく抱いてやり、西に愛されている自身のない男子あれば、行って優しく抱きしめる。
―そんなメガネにスーツの天使様、BL【ボーイズラブ】界に降臨。
BLレビュー。
あのね、これマガジン・マガジンの『BOY'Sピアス』で二度掲載された作品なの(コミックスでは特別編があるよv)。
で、帯見てくれるとわかるように、Hの悩み(解決)をテーマにしてるの。せっくすせらぴー。(違)
でもね、違うの、これをHが売りの漫画だと思ったら間違い。これは素敵アホいハートウォーミング・コメディな、ゲイやバイセクやヘテロの同性間恋バナ集なのです。つーか、ピアス掲載にしてはそんなに激しくないよ、H。
ちなみに扱うHのテーマはサドマゾ(共感!)と制服フェチ(共感!)です。
他のお話もときめくよー。会社員は接近する二人の恋がわくわく。高校生はプリティにいじらしく。アイドル同居は純なラブっぽく。大学生は切なげにオタっぽく。
絵がかわいいぷにっとした童顔キャラ達で愛いです。キューピッドもキモやらしそうな兄ちゃんっぽくてイイし、受けも攻めも「男の子」らしくて良さ気。ちょっとショタスキーさんにも喜ばれるかも。
そうだなぁ。江川達也の絵にグロサを抜いて、そんでアニメっぽさを加えた感じ?かな。
ある意味ただハッピーエンドなBL作品なのです。でも、ほのかに香る「ゲイYES!」な作風がポップでありつつ妙に高い温度をもたらしててキュート。台詞回しに工夫があり、ナイス演出。
なんかもう、ゲイの恋バナぅおっしゃ!て感じ。すぅごい、よかった!オススメ〜。
以下ネタバレ。
ゲイの間で噂の、天国の神さんに指令されて仕事としてゲイカップルにアドバイスするキューピッド(ノンケ用もいるらしい)。
恋のキューピッドはあくまでカップルをくっ付けるキャラなので主人公ではないのです。で、もしかしたらモノガミーな人はこの「恋人に変態キューピッドが乗り移ってHを仕掛けられる」という設定が無理な人もいるかも。
…ただ、興味深かったのが、このキューピッド、悩み相談相手の受けに決してアナル挿入まではしないんですよ。やっぱりアナル=純潔なのかしら…?
セックス観も悪くないと思う。ご都合主義的に上手くいってる感もあるけど、どのセックスを否定するのでもなく、変態とされるセックスに対しても肯定的でよろしい。キャラ達が最終的には、「ノーマル」と呼ばれるような「正しいセックス」に向かうのではなく、変態で行こうぜ!て感じなので好ましかった。
最終的には「何よりも想い合うのが大事!」て感じで締めくくられているのは、私的に微妙だけど、悪くはなかったな。
彼の主張を見てみよう。
「ボーイズビーアンビシャス! あがけ!そしてもぎ取れ おまえが思ってるほど愛は甘くないぞ 少年!」
「おまえら甘えてんだよ ノンケを好きになればほとんど成就はあり得ない ノーマルよりは相手見つけるのずっと難しいだろ? そん中で「好きだ」って思える奴に出会えただけありがたいって思えよ 感謝してあがけ カッコ悪くたってぶざまではねーだろ」
うーん、どうだろ。アイドルの話でもそういう感じだったけど、なんか弱肉強食な理屈臭いかも。ていうか、ゲイの恋愛観に対しても、なんかどこかで引っかからなくはない…。
異性愛をノーマルと呼んだり、不味いポジティブさもあるんだけど、でもそこ差し引いて贔屓していいくらいには面白かったのよ。
*ゲイYESな点。
- 変態性欲でも幸せです!なオーラを出している。
- 積極的にゲイの幸福を応援表明!
- 同性愛の罪悪感・後ろめたさを覆す!(しかも元ノンケが!)
- 「なぜいけないのか」と真正面から投げかける!
- 常に異性愛を前提にすることへの疑問符!
もともとホモフォビックなキャラが少ないのは他のBLでもそうだし、難しい理屈こねる前に恋のパワーでGOしてるのも同様なんだけど。しかしこの作品は、一部的なものではなく、積極的ゲイ肯定が特徴なのよ。これは貴重。
これは私の主観だけど、キャムプな精神もあったかも。是非ゲイ-メンズ達の意見を聞いてみたいな!
「アキもなんか言え!ホモだって言われてんだぞ俺たち」
「…え?…ホモ? ダメだよ佐藤さん三村さん田崎さん ホモって言った人がホモだって言うじゃないか」
「コイツらは女だっつーのこの天然」
もうね、「ホモ」は蔑称・差別用語だとか言う前に、「あいつはホモかもしれないぞ〜きもいぞ〜」って言うのは「バカって言う奴がバカなんだい!」と同じくらい「低レベルな話なんだよ?」って言ってくれてるみたいに思えてさっ!
この作品、是非ゲイ-メンズの感想とかあったら私に知らせてね*
ところでこのキューピッド。大変興味深いです。
「ターくん…」
「ノンたん…」
「実は僕… こんな女も真っ青なかわいい顔と細っこい身体なのに バリタチなの!」
[…]
「勇気出してくれてありがとう ノンたん それに…安心して 俺ネコも全っっ然イケる口だし」
駐屯地のアイドルちゃんですから☆
ゲイ御用達のキューピッドなのに、この二人に対してすごい驚愕してるのよ、彼。いや、でも、待ってよ。さすがに短髪タンクトップ筋肉質ってそりゃあタチゲイにだって人気あってもそれほど不思議ねーゾ、おい。
やっぱりBL的感覚だとこれは笑いどころになるのだなぁ、と感慨深いノダダでした。
(ただし、コレも一つのかく乱なのかも)
nodada's eye
ところでこのキューピッド。「リアルゲイにも大人気(実話)」らしい。・・・?実話?
では、彼の発言を引用します。
「これを読んでるゲイの諸君! え?悩んでるって?
じゃあ次は君のところへ行くかもしれないぞ!
と、この作品はゲイ読者を意識してるような発言があるの!(いや、真意は知らないけどそう読める。)
コレ読んで私すごい胸がびっくりした!
なんでびっくりしたんだろう…。
やっぱりあれかな、私はBLをあくまで異性愛女性読者に向けてのものだと思ってて、どこかで「BLで描かれてあるものは、自分とは遠い表現」と認識してるのかな…。そして、そのことに対してどこか安心をして読んでいる…。…我ながら、変なのー。
でも。
「ま いいさ ゲイの幸せがオレの幸せだ」
これでもうクラッ!と来ました!!
この作家さんは腐女子さんなのかな?どうなんだろ。
私はゲイじゃないけど、こういうことを腐女子の方(が描いたキャラクタ)に言われると、ちょっと、いや、すごく すごく嬉しいかも……っ!!
うぅ。なんかこういう言葉をBLから拾えたかと思うと、大げさかもしれないけど、すごく心が温かになるよー。私一人感動〜〜(つД`)♪