アメリケン粉。

タイトルに意味は特にありません。

西崎さんの筋肉隆々なイラスト最高ー!!
あらすじ。

経済的にも容姿にも恵まれたロバート・デイヴィスJr.は、メジャーリーグの人気球団ニューヨーク・スウェイズのオーナーに就任したばかり。ある日、スウェイズの試合を観戦していたロバートは、俊足の日本人外野手・高坂優に心を奪われる。少年のような容姿に驚くほどの闘志を秘めた優に、ロバートは強く惹かれ、優もまた…!? 雑誌掲載作と書き下ろし続編を収録。

帯。

恋に狂った男って言うのは、世界じゅう同じだ
若き球団オーナー・ロバートは、メジャー入りした日本人選手・ユウに惹かれて・・・!?
商業誌掲載作に加え、書き下ろし作品を収録!!

BLレビュー。

更新を全然していませんね。うぅ。ちょびっとでも書いていきますのでよろしく。
あと、これからはちょっとは他の方のレビューもTB(出来る場合は)していきます。
http://maneater-bxb.jugem.jp/?eid=195
http://syokasyoka3.blog63.fc2.com/blog-entry-383.html


まず何が美味しいって!西崎さんによる受けと攻めのマッチョな裸体が見れることですよっ!
受けは素朴な印象を持つ日本人臭い顔。攻めはハンサムマッチョなイケメン米国人。

二人が魅力的でした。
お話に置かれる恋のハードルはさほど高くなくて、比較的キャラクタが右往左往したりせずに恋を成就させます。お互い相手の表情に激しく惹かれていて、それがなんだか「想いが通い合ってるんだなぁ」という印象を感じて素敵でした。二人ともすごく野球が好きで、そういう共通項が、二人の情動にシンパシーを感じさせるように思えました。

受けはねー、「大和魂をなめんなよ」と鼻息荒くプレイする俊足のルーキー。攻めが一目ぼれするほどとにかく可愛いのですが、Hでは誘い受けかのごとくエロいのに、マウンドでは元気受けという美味しい人。
攻めは、基本すごく紳士なんだけどやっぱり所々情熱的に強引。
この攻めがね、言動がプレイボーイというかタラシなんです。見た目は全然似てないけど、大和名瀬さんの「さあ恋に落ちたまえ」の結城みたいに情熱的な人。
攻めは受けに出会うまで結婚する気はあったらしい。たぶん異性愛を持った人だと思う。でも、異性愛者だからって異性愛中心主義的というわけでもなかったので、好感が持てました。

セックスも幸福感に包まれたもので、久しぶりに堪能させてもらえました。(単に私が逞しい人らのセックスが好きなだけかもしれませんが)
ちなみに、私は野球についての知識はないのですが、(2005年における)薬物違反の規定についての記述は確からしい。http://72.14.235.104/search?q=cache:5qQIo46icl8J:inews.sports.jp.msn.com/mlb/columns/16/2005/20051208-1401.html+%E8%96%AC%E7%89%A9%E9%81%95%E5%8F%8D%E3%80%80%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E3%80%80%E3%83%A1%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC&hl=ja&ct=clnk&cd=5&gl=jp

それと、二人のパートナーシップが、恋愛面だけのもので成り立ってるわけではないところが、私的にツボだったv

以下ネタバレ。


ちなみに攻めの言動がどんなかというと、

「Sunshine―I loveyou―I'm crazy about you」

こんな感じ。

nodada's eye.

  • 恋の『自覚』。

攻め・・・遅い。→キスしてから一晩過ぎて、人から指摘されて『自覚』。
受け・・・早い。→キスされて直後。(暗に自覚を示されており、受け視点?)

―攻め。

 間抜けにもほどがある。
 興味とか欲求とか、それは恋愛の基本ではないか。
 あまりにもシンプルな感情を、いつの間にか忘れてしまっていた。
 甘い疼きと熱病のような痺れ。これは恋だけが教えてくれるものだ。
 日本人は鈍いのかときいた、ロバートの方が余程鈍かったらしい。
 ロバートにとって恋はもうずっと、駆け引きを愉しんだ末に手に入れるものだった。ここ数年は特に恋愛よりも仕事の方に心を奪われてしまっていたせいで、こんなふうに一喜一憂する感情がなんなのか、すぐには気付かなかったのだ。

自分の感情について受けだけが「同性なのに」と思ったりします。が、攻めはこの点には触れない。攻めは友人にも同性愛関係にある人がおり、同性間の恋愛が成り立つことに自覚的だ。そして抵抗もないようだ。
私は今まで「同性に恋をすることはありえない、恋愛対象になるはずがない」という前提に立ったキャラクタをBLでちょくちょく読んできた。だから今回も、攻めが衝動的にキスをしてしまったにもかかわらず恋の『自覚』をしなかったのは、こういう同性愛をクローゼットに押し込んだ前提があるからだと思っていた。が、ネックとなるのは、攻めの恋愛経験における より個人的な意味での前提であって、同性愛がクローゼットにあるからという理由ではない。

さて、二人が恋を自覚したあとのちょっとしたすれ違いの部分がある。そのシーンと、解決シーンを引用。

 これまでひとりで生きてきた優だが、ロバートの傍にいると頼り切ってしまう。言葉と態度で甘やかされて、それがあまりに心地よくて、どこか罪悪感に似た感情が芽生える。
[・・・]
 障害なんてないと思っていた。あっても吹き飛ばしてやる、と。
 野球も恋愛も努力次第でうまくやっていけると信じていたし、いまでも信じているのに、どうしてこんな気持ちになるのか。

 「きみが僕との関係に戸惑っているのはわかっているのに、僕ときたら欲しがるばかりだ。もっときみの立場を考えてあげなきゃいけないと思いながら、きみを前にすると」
[・・・]
 「ちがうんだ。俺が戸惑っているのは、ふたりのことじゃなくて、俺自身の問題。なんていうか、いままでずっとひとりきりだったのにロバートに出会って、甘やかされる心地よさを憶えちゃって――おまけに、抱き合う時も受身で・・・・・・俺はこのままだとどうなっちゃうんだろうって、勝手に不安になってた」


BL内での「恋の悩み」の多くには、異性愛と同性愛の摩擦があったりします。それももちろん実際的に大事なんだけど、陳腐なBLほど「同性愛になっちゃったよー」とか「相手は元は異性愛だったから色々心配ー」とかいう問題ばかりをクローズアップするのが目に付いちゃって、その表現にちょっとうんざりしてたのです。けれど、この作品では、恋仲で問題になる要素は、同性愛関係特有の細かな要素であったり(実際受身である事は男性にとってそれなりに意味を持つと私も感じる)、個人的なポリシー(性格)の要素だったりするのです。
もちろん相手が異性愛性を持った人ならば、同性愛と異性愛の摩擦が問題化することもしばしばあるのだけど、でも、同性間のお付き合いで重要な問題はそれだけに限らないよね。こういう個人的な要素も取り入れた、ごくありきたりな、当たり前な生々しさの感じられる悩みも読めるということは、やっぱり嬉しいです。