2007年マイベストBLコミックスcl。

さて、なんか方々で「今年のベスト本」企画をやってるので、私も調子ぶっこいてマネっ子しますです。でも、私は作品に番付をつけるのが得意でないので、とりあえず印象に残って面白くて萌えたものを羅列してみまつ。基本、発行月日の早い順で並べました。

まずは、このシト。
なんというか、恋愛を芸術的なモノガタリに仕立て上げていて、その作家力は必見でした。案外力技の人だと思う。「恋愛はすばらしい」というのは「恋愛こそがすばらしい」というメッセージ性と重なってしまう現代。そんな時代が嫌い。だけども、この作品は、そんな私の胸をも打つ詩的恋愛図でありました。
幼馴染関係が匂う擬似兄弟が好き…。

誰にも愛されない (ビーボーイコミックス)

誰にも愛されない (ビーボーイコミックス)

実は私、山田ユギさんの受けには苦手意識があるのですが、今回ばかりはツボでした。ヘテロ臭げな攻めを地味系フェロモン(笑)で落としちゃうマイペースかつクールな受け。ぬぼーっとしたキャラでありつつ、人をやりこめる奇妙な強みや、切なげな印象があって、とっても好みでしたw
お話も好き系統で、ちょっと人生切なげ系です。で、喧嘩をしてすれ違ったあとの、彼らの信頼関係の確認シーンが素敵なんです。あすこで、キャラを男性以外のジェンダーに入れ替えて読むことの出来ない「男同士」の関係性を、きっちりと提示しているところがなかなかBL作家としてやり手だと思いました。

純情 1巻 (Dariaコミックス)

純情 1巻 (Dariaコミックス)

ノスタルジックな青春グラフィティを思わせつつ、しかしやはりそこは再会ものなので、“リーマンもの”として成り立ってるのが美味しい萌えどころ☆ 絶対にコレは氏の出世作となるものでしょう。けっこうこれはオススメです。今年で2巻出ましたが、あれも最後のシーンが心に残る!なんだか妄想のインスピレーションを掻き立てられる作品でした。そして、攻めが…、あの微妙にマッチョ性が崩れちゃってる攻めの至らなさが…。。。
今回はうざったいゲイ表象がなくて美味しかったし、次巻からの波乱の展開にも期待ー。

王様にKISS! 2 (花丸コミックス)

王様にKISS! 2 (花丸コミックス)

相変わらずのバカップル。ここまでキちゃってるデキデキで甘々なアホどもも珍しいかと。二人の関係を温かく馬鹿っぽく描いた素敵作品。(私としては、ちょっとハーレクインな絵柄のように感じるのも好き。)
さて、2巻ではさらに周囲を巻き込んだラブコメの様相を成しています。男同士の関係について基本的に無問題を装うBLですが、これまではマキの親が相手ということで「天然だから男同士でも大して気にしないのだ!」で済ませられましたが、今後はどうなることやら。攻めの方の親の理解を得るために、どんなバトルをやらかしてくれるのか…。注目したい。

シグナル (花音コミックス)

シグナル (花音コミックス)

あー、余情だわぁ。この人の作品はエンディングに余韻がちゃんと残るのよね。たぶん、物思いに耽る青年少年を静的に描いている、ネーム等の“演出”が上手いんだ。 なんか人間ドラマな雰囲気も微妙に感じられて、好感が持てるの、素敵なの。大人の年代ワインものなの。でも、受けも攻めも微妙に子どもだけどっ!駄々っ子みたいなへたれ年下攻め…、ツボだった。。。

ところで、物語に登場するバイセクシュアルってなんで大抵が人間性に問題ありなキャラだったり、性的に淫らってキャラが多いんだろう…。偏ってない?

DARLING (Dariaコミックス)

DARLING (Dariaコミックス)

もうなんか「学園もの」。大好きだー。天然受けで、ちょっと「天然」が過ぎてて痛い子なので、苦手な人も居るかも。でも、私はこのざぁーとらしいカマトトっぷりが好きなんですよ。受けの天然さを利用しつつ、結局は翻弄されている扇さんの描く美形攻めも、大変美味しく…。
攻めの「俺のカウンセリングでお前のホモを治療してやる!だから俺とセックスしてみるんだ!(←意味不明だけど、でも本当にそんな感じw)」。これはキャムプと言うべきなのかどうか…そこらへんが難しくって評価が迷う所。
さくらにあいたら (ミリオンコミックス)

さくらにあいたら (ミリオンコミックス)

この女の子が好き…。なんかもう、ゲイとして悲観的過ぎて(でも、さもありなんって感じの)不憫攻めな男に恋をしちゃってる/いた、あの女の子が…。人間模様をセンチな視線から描く、温かなアンニュイ作品。なぜかそこはかとなく青臭い…。妙に雰囲気が「白」っぽいのはなぜ? 共感できるキャラクタ性だったかもです。

出張!! 敏腕キューピッド (ビーズラビーコミックス)

出張!! 敏腕キューピッド (ビーズラビーコミックス)

これも前にレビューしたやつだけど、これすごいよ?隠れクィアかも。「同性愛の問題系を、同性愛者の性質・本質に着目するのではなく・・・」というのはBLとしてはままある表現法なんですが、そこからさらに斜めを行く表現法。社会で同性愛が問題化するとき、それは同性愛自体が問題なんじゃない。この作品には、<異性愛規範>へのささやかな抵抗を感じます。所々で見られる、異性愛を前提にした制度をクリティカルに「笑う」パフォが秀逸。しかも温かなゲイへのまなざしがありますので、そゆのに好感持てるゲイ(特にショタ)にもオススメよ?

キスミーテニスボーイ (キャラコミックス)

キスミーテニスボーイ (キャラコミックス)

これもまあレビューを読んで。吉本たいまつさんはこの作品を「リアル」だと表象するけれど、私は「変態」と表象しました。吉本さんの着眼点は私と同じなのよね、実は。もしかしたら言語センスの違いと言うことなのかもしれないけれど、どちらにせよ私のも吉本さんのも、何かを取りこぼしてるのかもしれない。さて、カナメとカナメの巻き起こした性愛表現をどう解釈するべきか…。

パワーオブラブっスよ (花音コミックス)

パワーオブラブっスよ (花音コミックス)

[rakuten:chuoshoten:10013294:detail]
あーー!大スキーーー!!!大好きとしか言いようが無いーー!萌えたーー!ひたすらに、男子高校生熱血青春恋愛萌え!←長!このやりすぎの青春小僧は、ちょっと見るに耐えないものがあるんだけど、それがまた味があって、ときめきます!
前回のコミックスも秀逸でしたが、コレもまた犯罪級でした。というか、犯罪でした。男子高校生の恋愛はわいせつ物陳列罪にあたるかと思います。注意報、注意報。オー人事
萌えるとはこのことか…っ。可愛すぎるぜ…畜生め。高校生スキーでこの方の漫画読んでなかったらもぐりです。(横暴)

悪いコでもイイ? (花音コミックス)

悪いコでもイイ? (花音コミックス)

これも、大スキーーーー!!!この受けフェロモン+攻めフェロモンの交歓がエロい。すべての画面がイヤらしくて、実に胸躍る。シリーズ二作目にしてさらに濃厚になるねっちこく汁っぽいHも美味しいけれど、このカワイソスなお馬鹿(天然偽不良)受けと、そのお兄さま達がまた…っ。 皆いいキャラしてるねー。そして、私は兄弟でデキると予測してたんだけど、意外な所に伏線が!
…さてさて、生徒会長の陰謀の行方は如何に!受けを完璧に陥落できるのでしょうか!?(笑)
受け=女役。この観念が今後彼らのパートナーシップの構築にどのような意味を与えるのか…注目したい。

[rakuten:book:12584637:detail]

カウント0 (GUSH COMICS)

カウント0 (GUSH COMICS)

コレもまた…、大スキーーーーー!!!いやぁん、この設定は旨過ぎるっス! しかも、柚摩サトル・テイストのエロ色もちゃんと出てるしよー。この人はやっぱりコメディ調がイイw
人がついた嘘の数が見える攻めと、嘘をついたことが無い(カウント0の少年)のお話。あ、これも天然受けだった。…てへへ、好きなもんで。
これは「ライト(ノベルズじゃないけど)」ものとして広くオススメ。嘘の定義と、「嘘」の間にある人の心理というレトリカルな物語性をBLチックに表現。エンタメとしても割りと安定した読み応えがあり、これも氏の出世作になるはず!今後の展開に期待!
精液にエロス以外の役割・意味を持たせる表現は、BL・文化としてどんな意義と効果があるのか…。 微妙に攻めの特殊性を「否定」してる感があるが、「障害」をいかに肯定(あるいは妥協?)していくのか…注目したい。

夏色男子 (アクアコミックス) (オークラコミックス)

夏色男子 (アクアコミックス) (オークラコミックス)

コレも前にレビューしたけど、あれは読まないで欲しいな。駄文は消したい…。(それを言ったら・・・)

でも、やっぱりこれも、大好きだーーーーーーー!!!あぁ、そうか、これって「甘酸っぱい」んだ!高校生の甘酸っぱい片思い、恋愛模様、Hが描かれてるんだよね…。オジサン癒されちゃうなぁ。。。
同性の親友に片思い…、どこか切なげな話だけど、終わってみるとなんでもなかった問題ばかりが前景化してたのね…って感じで(w)、最後になって「何を迷ってたんだろう」とばかばかしくなってる受けが印象的でした。各話毎に登場する攻めの軽やかな恋愛スタイルがとってもパワフルで、元気をもらいました。「同性をスキですが、なんですか?」みたいな。文月さんの描く若々しくキュートな(そして表情豊かな!)高校生のラブストーリーにはワクワクさせられます。高校生の可愛いらしさが好きな人にはオススメv
で、最後のお話に出てくる、サッカー少年が私的にたまらないのです。この攻めの「いや、ネタじゃなくて本当に(彼を)愛してるぜ?」と、周囲に対して軽やかに“表明”しちゃうこのクールさ…。ああ、読んでてすがすがしかった。
年下攻め萌えだけでは終わらない素敵男子でした…。

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さて、今年出た作品で思いつくものを羅列してみましたが、なんとも趣味が出た結果になりましたねー。…そうです、私は結局、オサレさや奇をてらった作品よりも、「BLってこういうのが明るくて良いよね」って作品をこそ、愛しちゃうのですよ♪ 萌えられるわ心地よいわで、なんとも美味しい。こういう路線がある限り、私はBLに心を奪われつづけるのでしょうね…。なんとも魅力的な末路であります…!