「それでもまた朝が来て恋をする」レビュー。

それでもまた朝が来て恋をする (スーパービーボーイコミックス)

それでもまた朝が来て恋をする (スーパービーボーイコミックス)

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イカワラズアマゾンハガゾウデルノオソイナオイ!

  • あらすじ。

上司の夏目の明るい笑顔にほのかな片思いを抱く高橋。同性に恋をして、恋の痛みだけを何度も味わって、それでもどうしようもなく、あなたに惹かれてしまう──。
大人だから、純愛だけじゃもの足りない。エロかわのファーストコミックスとは一転の、せつないリーマンラブ♥ 描き下ろしはスウィートショート♥

  • 帯。

思わず叫ぶ オヤジ萌え
恋しくて、涙もろくなる。暴れだしたくなる。君を抱き締めたくなる。

だそうです。

BLレビュー。

うわーい、めっさお久しぶりの更新です。なんだか胸がザワザワしていつも落ち着かないのだだです。こういうのって何て言うんだろう…?うー、バランス悪い。←ソレ性分。

今回はこちら!『それでもまた朝が来て恋をする』/桜木あやん | ゲイ&腐男子のBL読書ブログ
後で其方にお邪魔させてください!


ジャンル:【ショタ】っぽい絵柄・ストーリーセンスが光りつつ、精子臭さの匂うエロが溢れた桜木あやんさんの2ndコミックス。今回もSBBC特色とマッチしており、且つピアスレーベルでも相性が良さそうな氏の作風でありますが、私はこの方が描くエロ本らしさが好物なのでござる。1stコミックスでは、あまりの抜き目的な作りに「これはエロ本か?エロ本なのか!?」とちょっぴりエレクトしたのだだですが(<アメリカンジョーク)、しかし著者も仰るようにテーマは「ラブとエロス」なのでしょう…、短編の構成質もエロスだけに特化されておらず、エロスに“ラブを加重した”作品集となっています。(←作品の選出と読む人によって評価が分かれるでしょうが、私はこのリビドー溢れるコミックスを、ラブ先行ではなくエロス先行だと位置付けていますデス。)
そしてそのエロスには柔らかなキャラデザにより愛らしさが添えられていまして、かと言って決して生臭さが無い訳では“ナイ”のだけれど、何故かエグミが緩和された後味が美味。表題作は「せつないリーマンラブ」仕様ですが、『はじめての男』では

「ぶっとくてビキビキ ボッキチンポまでおれ好みだなぁ土屋」

ボッキはさらにボッキしていく

等、素敵な語彙センスが「男性」向けな雰囲気をかもし出してるかのよう。カメラアングル手法の視覚的な要素を意識したセックス描写も私的に愉しい。チビキャラも好みだし、多分この方とは嗜好の方向性が同じw 美味しゅうございました(-v-)

全部で4カップル。表題作はどうやら受けであるゲイを儚い恋の使者として演出してる模様。ゲイの片恋!これだけで何か匂う物がありますよね。尤も実態は割りと同情の余地が無くて、ゲイバーで出会う男と“寝ていながらも”彼自身が

「好きな人にはなかなか好かれません」

それから何人かに恋をしたけど どの恋も秘めたまま終わった

、と供述してることからも分かるように、彼は根っからのノンケ好き。これを思うと、彼が攻めに告げる最後の感動的な台詞も空々しい感慨。何か悲劇のヒロインを気取っていますが、恋愛対象をわざわざノンケに絞らなければ恋を謳歌する機会は少なからずあったはず。

初恋は中学の時 担任の先生だった ゲイという言葉は高校で知った 

とまるで他人事な彼が王子様を待った結果が、望みどおりのノンケ(!)素敵オヤジとのハートフルストーリーな訳でして、何だかハーレクインな欲望物語。

これよりも次のお話、『はじめての男』とその続編の方が私的に共感☆(ビキビキにね!)

犯されているのはおれの方な気がした

と本人も気づいているように、放蕩な男子校と言う舞台装置を完璧に使いこなした受けの術中に嵌まった攻め(クツジョクテキだね!)。「土屋おれの好みだし」と言いつつもセックスは成り行き任せの非モノガマス態勢なビッチ受け、彼の淫らな性春活動は不良攻めをも陥落させるが、正直な衝動が突き動かす展開の中で二人が歩みだす破壊的で軽やかな恋のステップアップは爽快。(嗚呼、性欲から始まる恋にしか共感できない…。)

続編の四コマでは(男子校のエロスという)妖しいムードが丸くなったカップルらしい喧嘩が可愛い。ビッチな受けが距離を縮める努力をしない故の温度差だが、マッチョな割りに甘い攻めと受けとの相性は存外良いらしく、今後もユルいカップルとして上手くやっていけそうv
次に「王様の言うことは絶対ですから」。
体育会系且つお人好しな年下攻め。BLにありがちな、合コンで出会いを求めるヘテロには傍迷惑なリーマン二人のお話…。
しかしあやんさんは素晴らしく話の分かるお方…。攻めの乳首って何でこうも見目麗しいのか。。。そして、このお話のセックスはカキッコ
思うのですが、あやんさんの場合、受けだけでなく攻めも欲情の色艶が匂っており、高め合う互いの熱欲が大変ヤらしい。この方、男性なら例外なく性的視線のシャワーを浴びせ掛ける容赦ない作風ですね!

「うちのコ」
飼ったチワワ似の雑種犬が可愛らしい少年に!?(どの方面でかは存じませんが、)あまりにベタなネタ。ですが、犬と飼い主という関係性を巧くBL的信頼性(運命の愛)に調理しているので読みやすいかと。攻めの一見常識人っぽいが俗っぽくもある、マニア嗜好へのリアクションが美味しい。

「…でももうずっと人間のままなんだろ?〔…〕おれの…おれの楽しみが…お散歩…おフロ…お昼寝…」
「……でも ぼくもできるよ?お散歩もおフロも」
「…いやいい…全然違うものになりそうだから……(プ…プレイかよ…)」

nodada's eye.

転校初日に耳うちされた 「あいつ 女よりイイって うわさ」

マジでしゃぶってやがる 女にだってされたことねーのに

ビッチ受けの伊部による強烈な誘惑により土屋はホモエロティックな欲望に目覚めるかのように見えるが、このように↑「女」の性を参照としたエロスの開眼に、果たして「ホモ」エロチシズムの単位的開発(発展)は有り得るのか?異性愛規範をベースにした性愛から如何に新たな欲望体系を構築してけるのか…、このテーマにおいても評価が困難な表現だ。