「カテキョ!」を読んだ。

拍手ありがとうございました!皆、もっと押してくれてもいいよ!
コメントがありましたのでお返事〜^^

わーい、でしょでしょ!?分かってくださる方がいて嬉しいなぁv今後ともジャブパンチかましてアユ先生の布教に努めたいと思います。いつかBL宇宙連盟を作るつもりなのでアユ強化月間になりましたらご一緒にマンセーいたしましょう♪


カテキョ! (ドラコミックス 194)

カテキョ! (ドラコミックス 194)

  • あらすじ。

家庭教師・楓からの激しいスキンシップに翻弄される日々を送る倫太郎。 テストで悪い点を取り、エッチなおしおきをされてしまい…♥ エロ家庭教師が贈るラブレッスン♥

  • 帯。

「後ろ、そんなに気持ち良かった?」
「ダメ・・・この間は全部飲み込んだでしょ」

放課後は家庭教師のエッチなラブレッスン♥

描き下ろし!※詳しくはオビの折り返し部分を見てね
コミックス購入特典期間限定応募者全員プレゼントdrap TIMES実施♥

立ち読みはこちら→�u�J�e�L���I�v�@�G�؂䂤

BLレビュー。

著者の1stコミックスです。絵がきれいだったので買ってはみたところ、思いの外私の萌えツボを突いてくれる良作でした〜。

表題作他に2つのお話があります。
『コンプレックス・17』は、外面“だけ”優等生な攻めと、彼と幼馴染であるために比較されてコンプレックスを抱く受けの、高校生モノ。
『恋のハジメは×××!?』は、クールビューティー先生と彼に恋して元気にアタックを試みる生徒の年下攻めモノ。これら二つにはそれぞれ描き下ろしが付きます。

作風としては、新人らしいよくあるライトBLというか、drapに合ったカジュアルでオーソドックスなもの。その中にも見所のある作家さんでした〜。ちょっとした小ネタ演出も美味しいし、キャラクターにちゃんと個性的な魅力を感じます。
エロ絵は乳首や局部もキレイ艶やな線で描かれた、「いつの間にかローションたらたら」系のねこ田米蔵さんに近い感じ。
もしかしたらこの方のクセは微妙にアサッテ系なのかもしれませんが(爆)、適度に突飛なBL展開で、全体的に安定感あるなー。

イカネタばれ。



『カテキョ!』は全部で3話。柔らかな表情して、エロエロ。強引にお仕置きと称したセクハラをしてくるけど、そんな家庭教師になぜかドキドキして!?みたいな。
で、受けが可愛いですね。ドジっ子かつ純朴な子なんだと思う。攻めも言います。

全く・・・ドジだしすぐ流されるし騙されやすくて鈍くて

でも大丈夫、受けとしては平均値だと思う。・・・っていうか、流させてるのもだましてるのもお前だろうが!

色んなドジをかましてくれる受けですが、社会の窓ネタは素晴らしかったw あとがきから読まなかったら、まさかあんなところに開かれた窓が描かれてあるとは気づかなかったでしょう(笑)
それにしても、なんで私はこうも公衆の面前キスネタが好きなのだろう・・・orz

『コンプレックス・17』はかなーり萌えました(^▽^v

成績優秀、性格・運動神経・器量よしで女性に対して紳士的。しかしそれは表の顔で、幼馴染の「あんまりイケてない」受けにだけは横柄で俺様な態度。これもひとつのツンデレなのでしょうか?
「俺と離れてやってけると思ってんの」とかお前どんだけ自信過剰〜〜www
それだけなら良かったのですが、強気を装っていても受けに嫌われそうになるとうろたえたり、傷ついた表情をします!こうなると攻めの独占欲も何だか不器用なワンコっぽく見えてきますv
幼馴染に虫がつかないように着飾っていた攻めは、多分受けが居ないととたんに社会性を失うはず。実は「離れてはやっていけない」のは彼のほうでしょうw
こんな情けなくも愛すべきネジの外れた攻めですから、そりゃ受けも本性を知れば失笑しますよ・・・。意外と受け中心に回ってる俺様攻めって、美味しいですね?


ところで描き下ろしでは攻め宛のラブレターを受けが預かるのですが、それを攻めは無下にもゴミ箱へ・・・。受けはその行為に憤ります。

「俺にはナオがいるし こういうのはいらない」
「(光希がそう思ってくれるのは嬉しいけど なんかちょっと違うよな)・・・光希」
「なんだよ なんか文句・・・」
「オレは光希のこと好きだけど」
「な・・・・・・っ」
「そういう風に人の気持ちを適当に扱うのは嫌いだ」
「う・・・ ・・・・・・・・・っ」

これはちょっと印象的なシーンでした。今まで受け以外を過剰に蔑ろにする攻めは多くて、破いて捨てる事が当たり前だと言わんばかりの話も数多く・・・。しかもその行為は“モノガマスな独占欲で最上の愛情表現”として寧ろ評価されてきましたが、こうやって批判する受けもいるのだなぁ。私的には素晴らしいと思いました。

あ、でも。それは夜の奉仕と交換条件だったらしく、やっぱこの攻めも立派な攻めですたw


『恋のハジメは×××!?』もかなり好き・・・vvv
クールビューティー受けというお題だったらしいけど、この受けは曲者です。攻めはネクタイを結べなくて、進路指導室へと連行されます。そこで手ずから結んで見せてくれる先生だったが、恋焦がれる相手があまりに近距離にいるものだから、自制していたのについつい攻めはキスしちゃいます。すると先生はオカンムリになられて、何を仰ったかというと・・・。

「君は無節操だな 教師にこんなことをして許されると思っているのか? 今の件については反省文を提出するように 四百字詰め原稿用紙2枚これ以下は認めん」
「エ!!や、違うんだって!オレ先生が好きで・・・・・」
「言い訳は聞かん もう一度言う『反省文を明日提出』」

先生は恋のキッスに反省文をお求めになられました。。。

そこで私はすぐさま「恋文の反省文を書いて、ソレを読んだ先生が胸をときめかせ、めでたく恋に落ちる」という展開を予想しました。そして攻めはやはり「余計怒らせるかもだけど、行動あるのみ!」と恋文を書きます!実に想定内です。
が、敵もさるもの。・・・・・・書評が始まりました。

「誤字、脱字無し 文章表現も中々だ 語彙豊かに心情が綴られていて好感が持てる これが反省文であったなら・・・と思ってやまない 私をそんなに怒らせたいのか?」

芯の強いクールビューティー先生は朴念仁な天然先生でした・・・。。。
それでも諦めず誤解を解こうとアタックし続ける攻め。しかし靡かず・・・。
なので、攻めは友人にも愚痴をこぼします。

「キスもした 告白もした 手紙も書いた!順番ちょっとまちがったけど なのにまだ分かってないんだぜ!?どんだけ鈍いんだよ〜・・・」
「もうその女宇宙人じゃね?」
「そーかも(女じゃないけど)」

面白い事にここでは、男同士の告白が異性愛だという前提で語られる事で、かえって「男同士なんだから、告白されてもまず冗談として受け止めるのが当然だ」という観念が否定される。と同時に恋愛に鈍感である事が「宇宙人」とされるわけだが、これについては後述。

何はともあれ、どういった「反省文」が受理されるかで恋の結果が左右される二人の駆け引きは、なかなかに愛らしいものでした。あと、調教師なのか、振り回される子猫たんなのか分かりづらい先生も。

nodada's eye.

このコミックスでは、ある区分を用いることで、ひとつの異性愛規範(中心主義的な見方)から距離を取られる様子が見られた。では、彼らの体現する恋愛とその観念はクィアであるのか、あるいは、いかに異性愛規範と同化しうるのかを考えてみよう。


まず『カテキョ!』から見ていこう。
3話目で突然ベタベタして来なくなったカテキョの楓。彼の気持ちが分からない倫太郎。しかし、思わず倫太郎が本音を吐露したのをきっかけに、とうとう曖昧な関係から急接近する二人。では、彼らのキスシーンを目にした周囲の反応を見てみよう。

「こういう訳だから あんまり俺の恋人にちょっかい出さないでね」
「あーあ リンタロくん結構好みだったのに・・・」
「あきらめなよ 黒染クン怒らせたら怖そうだし・・・・・・」

という具合で、さして男同士の関係に対して興味関心は注がれず、ただ好みの異性が手に入らなかった事への嘆きしか見られない。
次に、倫太郎がいきなり楓の家に連れ込まれたシーン。

「昨日 楓さんがよそよそしかったから・・・ もしかしてオレが勘違いしてるだけで あ、遊びだったんじゃないかって思ったんだ」
「さすがに遊びで男は抱かないかなぁ」
「抱っっ っ・・・じゃあなんで・・・」
「これでも罪悪感はあるんだよ 一応ね なんにも知らない君に手を出して しかも生徒で」

今まで散々仕掛けといていけしゃあしゃあと仰いますが、それはともかく。
この台詞は何より「男で同性間でセックスするなら愛がないと無理」という前提があります。それは、ややもするとBLで定型フレーズである「好きじゃなきゃ男なんか抱くかよ」と重なります。このフレーズの意味するところは「男“なんか”を抱くの“だから”それほどまでにこの愛は確かなものなのだ」といったものでしょう。ソレは言うまでもなく、差別を逆利用して純愛を見出すレトリックであり、ゆえにホモフォビックな性質を伴います。
そして、楓の言葉で注目したいのは「さすがに」という部分。これは、「セクハラをしかけるような自分でも、さすがに男同士に対しては倫理的である」ことを意味するのかもしれません。その場合、「女(異性)遊び」ならまだ奔放な性の持ち主としても「マシ」であるが、男でも(同性でも)遊べてしまえるのは許容されない、とする背景がうかがえます。つまり、よくある「バイセクシュアル=淫蕩」のイメージが再生産されているわけ。

という訳で、この物語は一見すると男同士の愛が異性愛規範によって脅かされないかのようだが、実の所異性愛規範的なバイセクシュアル観が生産される事で“半ば”クィアな性愛が否定されていると言える。


では、この次に『恋のハジメは×××!?』を見てみよう。

センセーまじめだから いきなりキスしてタチの悪い冗談だって思ったよなー・・・ でもそれじゃあ告白したってあしらわれるだけじゃねーの!?
反省文・・・これに好きって書いたら 先生読んでくれっかなぁ・・・

「キスもした 告白もした 手紙も書いた!順番ちょっとまちがったけど なのにまだ分かってないんだぜ!?どんだけ鈍いんだよ〜・・・」
「もうその女宇宙人じゃね?」
「そーかも(女じゃないけど)」

すぐ↑のはさっきも載せた奴。

一段目では特に「男性同士“だから”タチの悪い冗談だと受け取られかねない」などとは書かれていない。ただ「マジメ“だから”」と見做されている。そのことで、受けの<鈍感さ>は「男同士だからって気づけないような、異性愛中心主義を内面化したキャラクタ」という意味づけから逃れられる(少なくとも逃れる事が可能となっている)。第二段目では、せいぜい第三者である友人キャラから「男の同級生なのだから、恋の相手は異性なはずだ」とする異性愛中心主義的発言が見られるのみだ。そして友人の発言は自らによって偏向的であることが証明されてしまったわけだ。
ゆえに、攻めは異性愛を非異性愛と相対化することに成功しており、クィアな存在として映る。
そして、攻めは友人の指摘から、「恋の相手は異性であるはず」という部分だけを取り外しつつ、「恋に敏感であるのは人間として当然」という論旨はきちんと受け取っている。


以上の様子を見ると、どうもこの作品には異性愛的恋愛とは異なる形の恋愛観を規範化しているように、私には思える。と言うのも、「鈍感である」ということは、「本来気づくべきことに気づけてないこと」を意味する。そしてその鈍感さの所以は「まじめさだ」と表象されたりもする。つまり、ある種の「まじめさ」がその恋愛から「ふさわしくない」と、締め出されてしまっているわけ。

それはともかく、ここで顕著なのは、恋愛に対する反応を鈍感か否かで区分しようと試みる政治性だ。そして、その区分が適用されるのは異性間だけに留まらず、男同士でも適用されるのだ。ゆえに、異性愛中心主義的恋愛観から逸脱した恋愛観であり、別種の規範となるのだ。

そして、この「鈍感である事の意味」は、各物語によって異なる。しかも、『コンプレックス・17』では、ここらへんがちょっと複雑だ。なぜなら、実は元々受けはモテたりしないのにもかかわらず、攻めが「ナオに人の視線が向かないように、自分が優等生を演じる事でみんなの視線を集める!」と意気込んでるからだ。確かに受けも、「キスされてるのに好意に気づかない鈍感な人間」と言われるが、お互いから鈍感であると見做されちゃってるので、この「鈍感である意味」にはあまりリアリティがない。
しかも、受けの鈍感さの所以には、(『恋のハジメ×××』の先生のように「まじめだから」などの)理由が見当たらないので、異性愛中心主義的ともまじめさともつかない「鈍感」さがあると言うのだ。
だからこそ、『恋のハジメ〜』と違って、「〜〜である」と表象される事で、何らかの性質が恋愛から締め出されることがない。


さて、偶然にもこの作品には「鈍感」な受けが揃っていたようだが、それぞれの「鈍感である」ことの意味がどれだけ異性愛規範と関わっているかは、難しいところだ。

しかし、ここで指摘すべき点がある。たとえば『コンプレックス・17』では、攻めから「お前は鈍感だからセックスして体に教え込んでやる」などと言われて、受けにペニスが挿入される。そのシークエンスによって、先の異性愛中心主義とは別に、他の異性愛規範とリンクしてしまっているだろう。
なぜなら、そもそもペニス挿入が性愛の証左として扱われる事は、生殖に結びつく性的接触だけを取り立てて「セックス」だと特権化する異性愛規範と無関係ではないからだ。
そして、ここでは「鈍感である感性」と対置して、性器挿入が恋愛の枠組みに“ふさわしいファクタ”として歓迎されてしまっている。「性器を挿入する、それほど恋愛の行為としてふさわしく、愛情の証拠として確かなものはないだろう?」、そうやって語る事は、「性器挿入」における異性愛規範が結局彼らの間でも再生産されている事を指す。
この意味で彼らの恋愛観は異性愛規範に取り込まれる危険から無防備だと言えそう。

鈍感か否か。この区分を利用する事で、異性愛中心主義から距離を取る事に成功したテキスト。しかし、当然ながら他の側面を見ると、意外なところで他の異性愛規範に近づくことすらある・・・。

だからこそ、細部を見てからではないと、彼らの恋愛観がどのような意味でクィアであるかは判断できないのだ。
とまあ、ここまで見てきたが、まだ詰める所がありそうだ。しかし、ここらが限界なので、とっとと失礼します・・・・。
 それでは。