「うそつきのおもちゃ」を読んだ。

拍手ありがとうございました!
お一つコメントありましたのでお返事。

わーい。楽しんでもらえて嬉しいです!が、正直ヤマシタさんの考察は恥ずかしい出来なので読まれたくない文章です^^;
まあそれ言ったら全部そうだけど。
それでは!


コレ面白すぐた!!!

うそつきのおもちゃ (アクアコミックス)

うそつきのおもちゃ (アクアコミックス)

  • あらすじ。

幼なじみの陽介は嘘つきだ。おバカすぎるアズサは、子どもの頃から陽介の嘘に言葉巧みに言いくるめられてばかり。ある日大学の友達と一人エッチの話題になり、自分の話をしたアズサはドン引きされる! それは陽介に教わったお尻に××を入れる方法だったのだ。怒ったアズサは××片手に陽介の部屋に乗り込み…! 「好き」の気持ちはウソ? ホント? 究極のラブエロコメディに、いじめられっこといじめっこの片想いシリーズまで♥描き下ろし付で登場!

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BLレビュー。

1stコミックスのキャラクタたちがナイスなクィアっぽさを発揮してたのでワクワクして読み始めたら、最初の3pで既に笑いの連鎖でした♪
表題作シリーズは全部で3話。あとは何故か紺野家の兄弟がそれぞれ活躍する別シリーズが3つ。1つリーマンモノと、2つ高校生モノ。

表題作の受けがいいねー。ちょっとグラビテーションの愁一に似てるかも。いや、それとは別の天然キャラで、間延びしたようなアホ子かなw
攻めからの「普通男はアナルパール入れてオナニーするんだ」て教えを5年間信じてたエピソード(詳しくは立ち読みを)から分かるように、愛すべきピュア+元気受け。攻めにちゃっかりオナニー覗かれたり、何から何までからかわれて泣かされてる受け、超可愛EEEE!!!
うそつきな攻めとの緩々ボケボケな漫才テンションが愉快なライトボーイスラブ☆
とってもキュートでオススメです。


・・・しかし、こういう嘘つき常習犯(攻め)と違って、騙されがちな人(受け)がたまに付く嘘ってシャレにならないときが多いよね。案外嘘をつき慣れてる人のほうが超えちゃイケない線引きが出来てて、罪のない嘘しか言わないのかもw
それでキレさせられる攻めって、実は不憫攻めなのかも・・・。

あと、『片想い』はツボな設定だった。受けの片想いが行き過ぎてゆがんちゃった話で、本当はイジメっ子体質でもないくせに受けが攻めを集団で苛める。が、いざフェラさせたら気持ちよすぎて、そこからじょじょに弱さが露呈してゆく感じ。

でも、オフィスラブ・『あなたと悪だくみ』の「小物な悪役キャラの、子分×親分」モノもそうなんだけど、若干設定を活かせられてないかも。
『片想い』はもっと“追い立てられる立場が逆転しちゃった”ってのを強調したら分かりやすいし、『あなたと悪だくみ』は正義のミカタ側キャラの絡みが弱く、どうも二人のお邪魔役キャラでしかなかったせいで、肝心の小物な悪役っぽさが出せてなかった気がする。とまれ、この八の字眉毛のヘタレワンコ攻めカッコカワイイ!!


後半が打って変わってシリアスだけど、1stコミックスよりストーリー性が練られてるので読み応えが増していた。どれも結局はポジティブな話だし、若々しい絵柄がマッチしてるしね。

モッタリ、サックリ、キュルルンパ☆な高岡七六ワールド全開!どこかマイペースな子達の愉快で胸キュンなラブストーリーを、是非お試しアレ。


以下ネタバレ有。


にしても、表題作はモブがホモフォーブでウザいなぁ。「へぇ・・・二人エッチしてるんだ・・・」て引いてるんだけど、こういう奴らに「パール君」てあだ名付けられたら私なら滅ぼしちゃいたいよ。
まあ、当人達は割とどうでもいいみたいだけどね(攻めは受けをイジメることが第一で、受けは同性愛を全く理解してないくせにヘテロセクシズム自体には鈍感)。それどころか楽しくいちゃついて、ノンケの一人なんか二人を見て、「いつも楽しそうだな、俺もホモのほうがいいかな」と考えちゃうほど。でも「いや、そこだけは超えるな」と制止するもう一人のノンケ。

そんな中、彼らを置き去りにしたままゴーイングマイウェイに迷走する二人・・・。ある意味最強なのかもしれない。
でもやっぱ笑われたままとか許せないーキー!
じゃあ、どうやったら上手く切り返せるかなぁ。
「男とエッチも出来ない奴がイキがってんなよ租チン」
・・・ちょっと弱いなぁ。
でもあれだな、こういうのは結局何はなくとも権力だよな。権力を握ったオカマほどタチの悪いものもない。(ビバ☆美輪明宏

nodada's eye.

それはそれとしてー。
受けは何度か攻めとセックスをしても、自分たちが恋人であるとは認識してなかった。それに驚く攻め。
「何度も入れて出してセックスしただろう」「じゃあ他に何をすればいいんだ」と詰め寄るが、受けは「セックスとは男女でしか出来ないのでアレは単なるオナニーの補助だ。」と反論する。ここで二人の間には、合意のセックス(挿入と射精)をしていれば付き合ってることになる、という前提があるようだ。
そして、受けはセックスだけでなく、「付き合う」ということ自体、男女でしか出来ないものと思っている様子。だからこそ、セックスも男同士では成立しないと反論した訳。
そんなけの思考を知り、攻めは毎度の事だと言いたげに「お前は本当にバカだな・・・」と呆れてしまう。
受けは↑のように、オナニーの仕方さえ教え込まれたら疑問も感じない単純バカだ。それは物語の中で非現実的な“ネタ”であり、漫画表現である。「ありえない非常識なキャラクタを笑う」。これはギャグ漫画としての常套。この笑いを成り立たせるためには、逆説的に確固たる「常識」が必要となる。
つまり、この漫画では、男同士が好きあえる事が「常識」であり、そんなことも知らないキャラクタはとてもおかしいという笑いを構築してる訳。一部の異性愛社会では男同士なんてありえない!、、、のが常識ですらあるのにね。ここらへんクィアではあるけど、この笑いの仕組みをクィアだと言い切れるだろうか?
というのも、この漫画では、受けのようにパール使用してオナニーするのが普通だと思っていた事をも、↑の仕組みによって笑いとして描いている。
しかし、受けの「間違った」普通を笑うと言う事は、「男はペニスだけで快感を得るのが普通」というストレートな常識さえも肯定してしまうのだ。
つまり、この笑いの仕組みでは、<笑われる事象>が入れ替えられる事でクィアとストレートのどちらにでも成る、ということ。

まとめる。この漫画の笑いには、「常識から逸脱した」と見做されがちなゲイネスさえも常識の枠内に取り込む力学が存在すると同時に、何かしらの常識を作り出しそこから逸脱するものを排除する、というお馴染みの構造自体は温存している。
ここでは、「アナルパールでオナニーするのは非常識で、男同士で何度も合意でセックスしたら付き合ってることになる」がその具体的内容。これが常識として機能すべく規範とは、果たしてクィアだろうか・・・?



『片想い』シリーズ。
好きと言う気持ちがゆがんでしまってイジメに発展する話。これ、受けが「性的な意味でも好きになってしまったけど、今度こそ離れるから許して」と告白すると、攻めが「そんな理由で苛めてたなんてバカだよ、好きだって言えばいいだけだったのに」とあっさり和解する。
だけどどうせなら、これよりもっと謝って謝って、攻めも「許してあげる側」になってたら良かったんだけどなー。(まあ、ただ単に私の好みってだけの話ですが)

それはともかく、攻めの「スキと言えばよかっただけ」という言葉によって、受けが抱えたヘテロ規範・ホモフォビアを軽々と覆してる、とも読めて中々素敵だ。

それでもやっぱり、今まで上位に立ってたのに立場が逆転してからはメソメソしながら許しを乞うて甘えることを覚えた受けがメタメタに愛されるお話とかってマゾっぽくて素敵なんだけどねー。(まあ、ただ単に私の好みってだけの話ですが)

『片想い』のサイドストーリーは、幼馴染モノだったのかな?ノスタルジックだった。私的に「社会にいじめられてる俺を助けてよ(学費が払えない貧困問題)」という攻めの台詞が印象的だった。