2009年マイベストBLコミックスcl。

やっほう、のだだです。
今年は本当に更新しなくてごめんなさい。ずっとはてなハイクに引きこもってました。メディアマーカーも多分もう使わないです。でも一応BL読んではいたんで、今年もマイベストBLの紹介をさせてもらいまーす。
例年通りマイベストセレクションと呼ぶべき作品を発売月日順に羅列するだけの簡単なお仕事ですが、いやー、難しかった。今年って不作だと思ってたんですけど、実際には好きなものがちょっと多すぎて紹介しきれないくらい(・・・要するに自分のコンディションが悪かったみたいです)。だから詰まらない俺事情で次点にランクインされちゃった作品もかなり多くて、われながら微妙な選出結果です。
ところで、新人さんで突出した人って少なかったような。。でも今年は本間アキラさんに出会えてハッピーです。(まだ旧作一冊しか読めてないんですけど・・・泣)

何れにせよ、一部趣味丸出しな選出になったことは否めません。


それでは発表いたします♪

(一 部 ネ タ バ レ)
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カテキョ! (ドラコミックス 194)

カテキョ! (ドラコミックス 194)

これレビューしましたよね?表題作は普段なら苦手な「エロいイケメン攻めに落とされちゃう」系のお話なんですが、受けがドジっ子で可愛いし、攻めもどこか純情ポくてスウィート。あと、私やっぱり人前でキスするシチュが大好きみたいです・・・。他の作品もタガ外してるようでいて誠実な面もあって好きです。


Punch 2 (ビーボーイコミックス)

Punch 2 (ビーボーイコミックス)

コレ大好き。年早々にベスト入り確定しました。『PBB』のリンク作。具体例挙げるとキリがないんだけど、攻めの牧がツボでした^^
というか、彼は私の理想メガネなのだ・・・っ! 牧は普段3枚目のヘンタイ助平親父キャラなんだけど、そんな彼のせいで、今回やんちゃ受けの浩太が「なんで俺にだけ変なこと言ってからかってばかりなんだろう」と悩みます。浮気性だし。でも、彼らはどこか純情で、相手に真摯なんです。そして、ベタな悩みではあるんだけど、お馬鹿な牧の意外なナイーブさが改めて見えて、そんな牧のことを浩太は本当に大事に想ってるんだなってのが伝わります。
「捨てられるのは俺のほうだ、いつでも」「二度と嘘はつくな、つかないでくれ」
という、普段バカップルの二人には不似合いなシリアスさが非情にやるせない。
浩太の初めての男エピソードもやるせないです。お姉ちゃんの彼氏を好きになる浩太。「不思議とエッチな事をしたとは思わなかった 飯を食うのと同じくらい大切な事 大事な人」。だけれど、結ばれることはなかった人。浩太という人間にとって捨てがたい思い出の一部なんだなぁ。
浩太は牧に「ひどい目に遭っても恋愛をしたいと思えたのは、その人のおかげだ」と告白してるけど、攻めと受けの関係がこの告白によってかえって重厚に感じられました。正にひとりの人生がそこにあって、だから今の恋があるっていう。
・・・そんな感動的なお話なのに、相変わらず間の抜けたオチを付ける牧・・・。・・・もう。・・・好き。


向日性のとびら (花音コミックス)

向日性のとびら (花音コミックス)

うん、さすがSHOOWAさん、と言った印象。この方お得意の近未来型SF色なんだけど、一応ミステリアスサスペンス、になるのかな。これもレビューしたっけ?まあ例のごとく攻めビジュアルが好みって面が強いんだけど。どのキャラクタも個性が魅力的だし、真相解明されるほどに切な気な物語が破綻なく完成されていくのだけど、やっぱり私には難解でしたw
そういえばこの作品でマカロンが好きになりました。


純情 3巻 (Dariaコミックス)

純情 3巻 (Dariaコミックス)

これはレビューしました。彼らの努力を讃えたいです。


茜新地花屋散華 (EDGE COMIX)

茜新地花屋散華 (EDGE COMIX)

ルネッサンス氏の1stコミックス。感想は。。。All In-determinate.などを参考に、、、と珍しく丸投げしたくなる作風。そのモノローグ過多さは群を抜く。すべての規範がロジカルに他者化されてるのも好ましい。
何はともあれ、学校の便所に順番待ちの列を作って男共にいたされるシチュは、私的ツボでした。あまりにビッチ。あまりにメンヘラ。あまりに情熱的。あまりに痛すぎ。眩暈がするほどのクレイジーさ。
結局深沢は開高先輩に捨てられるのだけど、同級生・埴谷との接合が好き。相手から「好きだ」と受け入れられた途端に萎えてしまう埴谷の気持ちにシンクロ(そんな自分の不甲斐なさを今更後悔する彼)。友情恋愛の区別がつかない深沢の気持ちにシンクロ(そんな自分を持て余してる様子の彼)。
難解に描かれているけれど、しかし最後まで読むと彼らの生き方はシンプルだったように思います。


テレビくんの気持ち (バーズコミックス ルチルコレクション)

テレビくんの気持ち (バーズコミックス ルチルコレクション)

表題作の芸能モノとリンクしたりしなかったりするオムニバスストーリー。可愛らしいお話だったので好き。この方の、受け攻め双方が頬(そのほか)を真っ赤に染める描写が大好き。
いわゆる元ヤンのコンビニ店長(20)と本社から指導に来た真面目くん(25)のお話がイイ。セックスの悩みって色んな理由で言いづらいと思うのだけど、一緒に泣いてくれた攻めがよかったです。人によっては「些細なことだし気にすることないよ〜」って善意で慰めてくれるんだろうケド、それを一緒になって胸を痛めてくれる人がいるのは、すごく嬉しいことだと思うから。
描き下ろしの、カプ未満の何でもないお話も思いのほか心がホコホコしましたー。


Silence (バーズコミックス リンクスコレクション)

Silence (バーズコミックス リンクスコレクション)

コレ読んだとき本当久しぶりにトキメいたんですよ。直接患者の体に手を“突っ込んで”どんな病も治す超能力者たちのシリーズ。3カップリング。
秋山こいとさんのフェミニンな受けは人によっちゃ地雷だろうし、実際「異性愛もどき」なカップルが多いと思います。でも、私はそういうのが好きみたいです・・・!!一話目の黒髪短髪ガタイ兄貴が言う「抱いてやるから来な」という尊大な台詞は、キンモー。だけど悔しいがセクスー。2ndカプは珍しくどちらも成人男性っぽいビジュアル。一番萌えやすいカプかもー。駆け引きする二人の雰囲気がムーディ〜(けどホノボノ〜)。長髪兄さん(攻め)が好きな人のベッドでマスターベーションするのが、これまたセクスー。どのカップルもすごくお似合いで和みますvvv
唯一表題作が呪われた運命の絆(モノガマス)を志向しており、少し不穏なハッピーエンドだったけれど、ある意味最も王道。


ネコいりませんか? (GUSH COMICS)

ネコいりませんか? (GUSH COMICS)

この作家さんには誰よりクィアネスと誠実なロマンスを期待してるのだけど、今回は異性愛規範の解体性は比較的弱く、違う面でズレてる作品だったかも。
表題作とその次の話は猫が人間になってご主人様と添い遂げるお話。ただし、最初好きになった人間だけには猫のまま見えてしまうし、相手から必要とされなければ完璧な人間になれない、という設定。
ここで面白いのは、攻め(人間)の同回生らが「なあなあ知ってるか、法権の講師って同性愛者でネコらしいぞ」と噂してると、受け(猫)は、「ネコ」を「猫」だと勘違いして「えっ、僕以外にも猫が?!」と口走ってしまうところ。もちろん攻めは受けの言葉が「にゃーにゃー」としか聞こえないので、彼らの間でどんな誤解が生じてるか気づきません。そんな状態で話がどんどん進み、「やっぱり人間にとって僕ら猫は気持ち悪いですか?(ウルウル)」「い、いや!俺たち同性愛に偏見ないから!(キュン)」という展開。
その後も似たエピソードがあって、勝手に『同性愛』について右往左往するストレートたちの様が楽しくて。彼ら自身の抱える規範(によるパニック)が完全に“外側”に描かれ、客観的に観察できる構成なのがとても面白いです。
「キスは人間にとっては単純なものではない、猫のお前には分からない」という攻めに対して「確かに僕は猫でしたが、勉強と同じで教えてもらえばいい、なぜ最初から分からないで終わらせるのか」と応えてるのもイイ。

他の作品。完璧なエリート街道まっしぐらの先輩攻めが、後輩受けを教室で押し倒してる様を教師に見られ、とっさに誤魔化した過去について、「正しい軌道修正」とは言わず「だけどお前を手に入れることこそが完璧な人生だと気づいた」と言って、誤魔化した事実を悔いてるのが良かったです。
ただ、その次のお話がちょっと引っかかる。美人受けが平凡な顔立ちのオタク攻めに一目惚れし「格好いいからって調子付くなよ!(テレテレ><)」してるのは楽しかったのだけど、オタク攻めが「ユークリッド幾何学では平行線と平行線は交わらないとされるけど、非ユークリッド幾何学だとそう言いきれない。男と男はユークリッド幾何学だと思ってたんだけど」と語るのです。これは攻めの異性愛者視点を無条件的に標準値にして、それ以外の現象を「イレギュラー」として扱う従来の異性愛社会を反復してるように思えて、そこは少し残念でした。
最後は義兄弟モノ。二人は周囲から見て引かれるほど仲が良い。兄弟愛として仲良くするつもりだった兄だが、弟に甘えられるとセックスも・・・というお話。「兄を抱け!」にワロタw 兄弟愛を体よく利用する策略家・弟攻めがステキでしたー。


甘えんじゃねえよ (EDGE COMIX)

甘えんじゃねえよ (EDGE COMIX)

さっきも紹介したルネッサンス吉田さんの2ndコミックス。またもやシンクロする部分はあるけれど、私は性的虐待などの経験を持たない。
1stと違って短編集で、非BL作品も含まれます。舞台がまたもや売春店だったり、小説家漫画家(アマプロ)のお話がいくつもあったり、テーマ性が一貫しています。なるほどこれは著者の私小説だな、と。そして今度はエセインテリな自分を切開したり、はたまた人の感情が分からない自分を切開したり、「ミゼラぶ」って閉じこもる自分を切開したり、他人とうまく折り合えない自分を切開したり、ああ、大忙し。ひたすら自己切開。しかし読者である私は、そんな彼らから問われ続けているように錯覚するんです。
ただ、叫ぶ。切開する痛みに阿鼻叫喚。半狂乱になりながらどこまでも失敗し続ける、しかし何かを捨てきれない落伍者による人生賛歌。などと書けばありきたりな紹介になるんですけれど・・・。

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さて、こんなもんです今年は。
・・・どうも私は可愛らしいカップルの誠実な絆を描いた優しい世界観が好きみたいです。恋愛くらい、他人に迷惑をかけないでこなしたいものだわね。
無理か。