久々の「爆れつハンター」。

専業主オカマ、か・・・。ふ…(-v-

絵が違いすぎるぞ。↑

ところで今日お見舞いに行って来たんです。大事ないといいのだけど…。そしてやっぱり、と言うか当然行っても役立たず…。痛いらしいのだけど気の利いた事ひとつ言えやしない。だって、私は愚かしき不器用な男という生き物…、許されたい(都合のいい時だけ男になります)。

そんな病院の待合室で見つけたのが「爆れつハンター」1巻〜7巻です。と言っても、ソコの本棚に置かれていたのは上に挙げた文庫版ではなく、単行本サイズ(と言ったらいいのかな。
ちなみに私が初めてこの作品を読んだ時は多分小学生かそこらの時のはず<おっと、そこで私の年齢を計算するのはおやめなさい。そしてその頃の私はなぜか続き物マンガの最新巻だけを買うという特殊体質だったために、この「爆れつハンター」も7巻しか持っていないし読んでもいなかったのです。今では手元にあるかどうかも怪しい代物…。ですが、手術中、待っている間に読もうと思っていた5927アンソロを車の中に置き忘れていたので仕方なく、久しぶりの発見でめっさ懐かしいので手にとってみたのです。そして、これがもう大当たりでした!

まず何がいいってキャラクタ全員が変態です!いや、何を差し置いてもそここそがイイ!しかも主人公総受けモノと見た!

  • キャロット。

めっさ女好きのスケベなバリバリヘテロです。ソーサラーハンター稼業のため出掛けた先ではいつも女性達の尻を追いかけ「一発やらせて!」とナンパ(と言うよりただの強襲)して、仲間の女性に「浮気者」だのなんだのと仕置きされます。要するにラムとアタル状態。…この二つのキャラクターを見ていて思うのですが、最初から成功させる気が微塵も感じられない彼らの「ナンパ」の仕方は何でしょう?アタルにしろキャロにしろ、彼らはまるでわざと「ナンパ」に失敗して、仲間内から叱責されるのを待っているかのようです…。…うわぁ・・・…www

いやぁ、しかしどうも私はこの手のヘテロ男子が好きなようです。あまりにヘテロ過ぎて「ノーマル」だなんて言えやしないのです。
しかも、攻撃魔術を受けると凶暴な魔獣に変化するという美味しい能力を持つ。ある意味ダークフォース的主人公。
そして、彼が獣人から人間に戻る時は必ず全裸状態。このマンガ、女性のコスチュームがかなぁり露出度高いのですが、キャロットも実はサービスカットの多いキャラだと言えます♪

  • マロン。

キャロットの弟。すんごい美人サンで兄とは対照的に強く清く、頼りになるブラコン野郎。ええ。もう、彼が…、普通にやおい同人誌で調理される程度には美味しい立ち位置なのですね。兄を傷つけるくらいなら自分の命を差し出す事さえ惜しまない彼は、敵に対し「君達が犯した間違いは一つ。兄さんを傷つけた事だ」と恥ずかしげもなく言えちゃう愛の塊人間。
兄が色々やらかしたり、あるいは女性やオカマに迫られた時に、後ろでひっそり色んなリアクションをしているのがとても興味深いです。

  • ティラ。

お上品なメガネッ子かと思いきや、赤いコートを脱ぐといきなり「女王様とお呼び!」と言ってムチ(糸?)を振り回す激情家に変貌シマス!キャロが獣人化した時に、得意のムチで動きを封じて(マロンと共に)人に戻す役目を果たしている。実はキャロの事が好きなのだけど、結局は気持ちを表す事が出来ず、多情な彼の姿に怒りのムチを振るうしか出来ないチョットお茶目なシャイ・れでぃー。

  • ショコラ。

ティラの姉であり、妹と同じく、(衣服を脱いでキャロに貰った帽子を被ると)突如性格が変貌するタチ。キャロにめた惚れで、ティラとは違って思いを隠さないタイプ。いつも全裸か半裸になって襲いかかる攻めッ気たっぷりな人だけど、しかし妄想面ではイタ乙女な一面を見せるナイスバディ子さん。

  • ガトー。

筋肉自慢のマッチョお兄さん。マロンを初め、道中出会う美しい人の賞賛をしたり、時には自分の筋肉を披露してくれる熱き露出魔(ショコラと似ているね!)。一度見た人間の肉体はきっちり記憶するという、とにかく肉体美マンセーの人で、相手の性別に重きをおかないタイプの肉体フェチv

実はめっぽう強いオカマ。キャロが好きみたいでよく抱きついてくるが、キャロ以外にもティラやマロンにも「興味がある」と言っており、何やら思わせぶりなキャラ。実はバズナイトというソーサラーハンター最強戦士の一人。騎士然とした彼の姿には普段と違ったマスキュリニティが…。


以下.私の解釈。

マロンとティラの関係。
ティラとマロンはどこか恋の共闘路線を張ってるかのように見える。たとえば、ショコラがキャロに襲いかかる時、二人は不満というか憤った表情を見せるが、翻ってティラとキャロがラブめいた空気を醸し出す時はなぜかあまり憤りを見せないマロン…。
ティラは「(女にふらつくならまだしも)男とはイヤ!」とホモフォビックな発言をするものの、マロンのあからさまなほどの兄の傾倒っぷりに感じ入っている姿を見るに、二人は互いに「キャロへの愛」を認め合ってるんじゃないかと予想・・・ではなく期待している私…w

一人の人間に対する愛。そこに生まれた絆が介在する、奇妙でエロティックな相関図が妄想できて嬉しい・・・w


ショコラとキャロの関係。
キャロは自分と似ていてもゾンビでも相手が可愛い女性ならとにかく「一発やりたい」人なのだけど、唯一恐れを成して逃げるのがショコラその人だ。なんか知らんけど、もしかしたら能動的な女性が恐いのかもしれない。だけども、彼女の欲する所は、お昼なメロドラマのわっかり易い男女関係だ。二人は表面的には付き合えちゃいそうに見えるのにも関わらず、互いのセクシュアルファンタジーが奇妙にすれ違ってしまっているのだ!
それはともかく、ここにキャロの無制限なヘテロ性の揺らぎが見て取れるのね。無類の女好き、のはずが、なぜショコラ相手だと尻込みしてしまうのか…。ソレをどう解釈するかでキャロへの評価は別れそう。

ともあれ、キャロというヘテロっぷりは「セクシュアルマジョリティ」に押し込められない異端ッぷりを発揮している。うる星のアタルもそうだけど、彼らはあまりにも露骨にヘテロなのだ。
さて、世のヘテロの大半は、自分の事を「ヘテロ」だとは思わず「ノーマル」だとか「ストレート」だとか言うだろう。それこそが無徴な存在で基盤で当たり前なのだから、と。
もちろんキャロ自身も自分のヘテロっぷりを「男として正しき姿(笑)」として捉えているだろう。そう、女好きな姿こそが男らしさなのだから…ね。
しかし、彼のように異様なほどに多情で襲い魔なのが「男として正しい姿」!ならば、これほど変態的で「ノーマル」「ストレート」から遠いヘテロの姿はないだろう…。つまり、あまりにも露骨にヘテロで、かえって「ヘテロってこんなに変態なの?」と思わせられるのだ。

ヘテロの自称「ノーマル(笑)」<「ス○ーツ笑」ってこういう使い方でいいの?は、それすなわち「人類全てヘテロ」という信仰であり、無条件的にその他の性を名づけ、セクシュアルアイデンティティーという規範の逸脱としての烙印を押す。
しかし、ヘテロってそんなに正しく普通なものだったか?はっきり言ってノンヘテロからしたらかなり奇特な人達に映るぞ?もちろんヘテロから見たバイとかホモとかも同じだろうけど、どちらにせよ視点を変えれば結構皆奇妙で変な生き物だよね。そういう事を思い出させてくれる主体として、キャロというヘテロがいてくれるように私は感じた。

そんなキャロがショコラにはヘテロっぷりを発揮しない。ここで、キャロが「ヘテロ」という名前だけでは言い尽くせないシンギュラーな要素を持っている事が、垣間見える。
だからゲンミツにキャロの性を言及するのなら、「ヘテロ」だけでは事足りず、以下のように詳しく語らなければ正確に把握した事にはならないのだ。
ゾンビでも可愛い女性ならイケて、オカマのミルフィーに迂闊に(?)ときめいたり、だけどショコラには触手が動かない性
これこそが、キャロの正確な言及と言えるだろう。いや、もちろんここにもまだ余剰(シンギュラー)の部分は、有る。
要するに、人の性というのはセクシュアルアイデンティティーでは語り尽くせない代物なんだよね。当たり前だけど、その当たり前をうっかり忘れちゃう私たちは、人の性をいつも既存の名前で知ったかぶりしてしまう…。だけども私たちが見ている(読書を含む)世界に、既に語り尽くせない性の余剰分が垣間見えているのだ。ただそれに無視を決め込んでるだけで。



とまあ色々書いたけれど、率直に言って、男女限らず美しければおkなキャラ(性別以外の軸で好みが別れるキャラ)や、一途に主人公(キャロ)フェチなキャラが多いこの「爆れつハンター」は、私的にかなりツボな作品だったという事だ。