「イインチョと俺!俺!!」を読みましたよ。

今日も男扱いされて
気がメイル(male)ぞう。
 
・・・ノダダの精一杯の駄洒落です。みなさま、拍手ありがとうございましたー^^!
そしてジョー太郎先生!!今日ちょっと引用めいたことをさせて頂こうと思ってた矢先のタイムリーな出現に感動ちびりまくりデアリマス!
というか先生、過去ログを読み返すとか、このブログで一番やってはいけないことデアリマス!!駄文読まれて恥死率500%デアリマス。。。


そういやこの所更新してませんでした。あっちブログで騒いだり、怖い(らしい)動画を漁って3度見たら死ぬはずの絵画を7度くらい見たり、半生で油臭いドーナツ作ってしまったり、残念な人生の方は俄然更新中なのですが・・・。

そんな中今日はホラーDV物語をご紹介(はぁと)


イインチョと俺!俺! (ディアプラス・コミックス)

イインチョと俺!俺! (ディアプラス・コミックス)

この自己主張の激しいタイトルが全てを物語っているよな・・・・。

  • あらすじ。

俺のイインチョは、脱いだらすっごいエッチvなんだからっ!
クラス一のモテ系男子・芳野くんは、マジメっ子メガネの強気なイインチョにベタ惚れ片思い♡
イインチョを身体検査してサイコーに感じるトコを開発したい♡ と毎日妄想特急暴走中です!
そんな芳野くんをしつけたいイイチョがちらつかせたご褒美は……!?
モテ系男子×メガネっこ委員長のエッチなラブトレーニングvスタート!!

  • 帯。

俺のイインチョは、脱いだらすっごいエッチ♡なんだからっ!

モテ系男子・芳野くんに、マジメっ子メガネのイインチョがちらつかせた、エッチ♥でビッチなごほうびとは・・・・・・!?
 
みろくことこ史上No.1エッチでキュートなラブ♥トレーニング♥

BLレビュー。

試し読みすれば大体の色は分かるかと。
http://www.shinshokan.com/comic/tameshiyomi/090428d_iincho/index.html
今日はネタバレとか気にしないよ。

しかし、油断してたら本当にエロ濃かった久方ぶりのみろくことこ・・・。まあ受けのビジュアルとかはいつも通りだったけど。
興奮してヨダレたらしたり強姦中に萌えツボ刺激されてクネクネ悶えたり、ドリーマーな変態っぽさが味わい深いのだけど、何かひっかかるモノを感じる・・・。

と思っていたらジョー太郎さんが偶然書いていた文章を読んでピンときた。
そう、この攻めって受けの事を尊敬してないの。それは相手を男性として自分より下位と見なす行為にも繋がっていた気がする。(もっとも『男のプライド』なんてチリ紙程度にしか思えんからオカマの自分的に痛くも痒くもないんだが)(むしろ世の『男のプライド』とやらをへし折ってやりたい鬼畜☆眼鏡っ子なワケだが)(ちょっぴり本音)(爆)

その意味で彼は攻めとしての男らしさに欠けていたと思うんです。簡単に言うと、そんな攻めは攻めと呼ぶのも勿体無いっつーことです。

いや、一応頑張って攻め様になろうという片りんはうかがえるのね。
ある日、めずらしくおびえていない素直なイインチョと「お互いやる気」でエッチ出来たのだが(てそれもどうなのよ)、実は夢だった。そこで便宜上の攻めたんは、夢のイインチョと浮気した心地がしてバツが悪いので、ばっさり髪を切ったのでした・・・。・・・。
・・・髪を、切った?
・・・ん?それが何?
イインチョイインチョ言いながらちゃんと受けの名前を知っていた?それどころか食べ物の好みもリサーチ済み?
・・・だから?


ていうか、髪切るのも「いきなりペニスは抵抗あるだろうからイインチョを気遣ってオモチャを使」ったのも、全部自己満足で相手の意思はガン無視じゃん。

それ以前にも、「変なことしないなら仲良くしていい」「(変なことの定義が分からないなら)僕がイヤな時は『おすわり』って合図するから、言うこと聞いて?」と警告されていたにもかかわらず、「イインチョが好きで他の事考えられないままこれ以上ひとりエッチしてられない」という身勝手な理由で約束を反故にして、嫌がるイインチョをまたもや強姦している。・・・言う事聞けなくてバカすぎる。
これって『ワンコと飼い主』っつー設定が活かせてないって意味で、萌え的にも減点になりそうな気もするんだが、どうなんだろう?


それに受けも受けだ。好き放題のこんな奴に何気配りしてんの。そのバカワンコ躾けるんじゃなかったの?「けっきょく言う事聞いてしまったのは僕の方なんだし」「こんな毎度やんちゃを許してたらホントに恋人みたいじゃないか」ってオイオイ既成事実作られて着々と外堀埋められてるんじゃないか。大丈夫かあんたのディフェンス力。


・・・とは言え、彼(便宜上攻め)ってば一応モテ系らしいのよ。運動神経とビジュアル面でね。そりゃサッカーユニフォーム着たイケメン男子高校生とヤレるんだったらある程度目つぶるものかもしれないケド、私だったらはっきり言ってこんな奴恋人にはしたくないわよという・・・。


んで極め付けがコレ。

「体は俺のことダイスキだって言ってるのにねー ねーえ貴弥 キモチいーのは俺のことスキだから そう思ったほうが楽になるよ? じゃないと貴弥はぁ キライな男にムリヤリえっちされてーヨロコブへんたいさんになっちゃうでしょ? 」
「ち ちが ちが・・・っ」
「だよねー 貴弥は俺のことがすき そうだよね?ねぇ・・・・・・・そうでしょ?そうだって言えよ」


今までずっと こんな目を してたのか
――見ないフリ してたな・・・・・・・

これにはさすがに受け自身も「ずるい」と思ってるみたいだけど、けっきょく過度な愛情として受け入れられている様子。

でもこれかなり脅迫的だよね?

レイプの何が怖いって色々怖い訳だけど、快感を無理強いされる恐怖ってあるはず。すると被害者は自分を責めるかもしれない。そんな被害者に悪魔的な二者選択を迫ることがどれほど判断にバイアスを与えるか、攻めはひとつも考えてない。
しかし受けは恋人になることを選ぶのだ。確かに攻めを好きなんだろう。だけどこれってもはや「本当に好きなのか?」と疑心暗鬼に陥いってしまうホラー的内容だ・・・。


nodada's eye.


さて、この作品において同性愛はいかに表象されているのだろう。それは受けのモノローグからも見えてくる。

まったく あんな体格もよくて手も足も長いくせに バカにしてる プロからも代表からも声がかかってるっていってた もしこんな間柄じゃなかったら もっともっと心から応援できるのに・・・
〔・・・〕
そういえば芳野君のスキ・・・ってやっぱりそーゆーイミなんだろうか 女の子の代わり?・・・いやまさか・・・大体黙っていればモテそうだしそんなことは・・・・・・
〔・・・〕

もしかして今まで僕の自意識過剰・・・・・・ そっそうだよ 男の体みてヨロコブへんたいがいるわけ な・・・・・・いるのか

(――ちょっと説明すると、最後の「いるのか」は、じっさいに攻めがそばにいて、彼が自分の裸体を見て鼻血出していたために言った台詞なのね。)

つまり、受けの中で同性愛についての理解は「同性が同性を愛すのは異性にモテないから逃避してるだけ」というありきたりな偏見に根ざしている。二人は実際同性と恋してる訳だけど、少なくとも受けの姿勢からは同性愛(者)の尊厳は、見当たらない。(もちろん尊厳を守る役割なんて本来誰も引き受けなくていいのだけど)


・・・あと注目なのは攻めの友人達。かれらは、日々受けに萌え悶えてる攻めの姿にドン引きしつつも、同性への恋に対して応援してるのだ。(と言っても、かれらはレイプのときに見張り役を自ら買って出ているので、けして良心的キャラクタなワケではない。)

周囲にはそういう緩さ(?)があるんだけど、その分受けのヘテロノーマティブな同性愛観がとてもホモフォビックに映る。


それでは攻めはどうだろうか。
さっきから便宜上攻めが受けを尊敬してなくて「攻め」と呼ぶのもおこがましいって書いてるけど、そのくせ彼はBLの攻めらしさを部分的に有してる。「だって俺はもうイインチョじゃないといけない」「(やれれば誰でもイイのではなく)貴弥だからいいんだよ なんでだろうね こういうの恋してるから?」という常套句がソレだ。

この常套句によって彼は、「同性(男性!)の中から好きな対象が見つかる男性」というまなざしから逃れられるのであり、もれなく「たった一人の相手をたまたま好きになっただけの男性」という存在にフェイドアウトでき得るのだ。
つまり、本人の意図にかかわらず「同性愛者」(と呼ぶときにイメージされる)像から離れられる可能性を持っている。
そのため、何かヘテロ規範社会的にも例外として、同性愛表象を脱色した<愛>の部分だけにアイデンティファイすることも可能。そう、少なくとも“選択肢の可能性”としては。(ちなみに彼のセクシュアルアイデンティティは明らかにされていない)

もちろん彼はその選択を明確には行っていないのだから、同性愛の尊厳と抑圧を自ら引き受ける可能性も同時に備えている。(くどいようだが、もちろんそんなものは本来誰も引き受けなくていい)

だけれど、「男の体を見て喜ぶ変態」という明らかに男性同性愛者(両性愛者も基本的に含まれるだろう)に向けられがちなまなざしを回避する選択肢があるというのは、多くの男性同性愛者らにとって不可能なものだ。
この意味で彼は、男性同性愛者のイメージである「男の体を見て喜ぶ変態」と同じであるのに、同じでない。
そして実際そういうひともいるけど、無論それ自体はなにも悪くない。
問題なのは、「イインチョの体を見て喜ぶ」ことが「男の体を見て喜ぶ変態」とイコールに繋げられたとき、それにどう対処するかだ。
残念なことにこの作品ではその対処法を明確に打ち出した描写はないので、攻めが同性愛の尊厳を奪い返せるかどうかは分からない。
しかし。
もしここで彼が、「俺は『男』ではなく『イインチョ』が好きなんだ。だけどそれを『男の体を見て喜ぶ変態』だと言うなら、変態の何が悪い」と言ってくれれば、ものっそいクィア


・・・ああでも、そうだな。あれだけゴーイングマイウェイに変態キャラを貫き通してる攻めなんだから、ある意味「男の体を見て喜ぶ変態」というまなざしを跳ね返してくれてると言っていいかも・・・。

その点だけはカッコイイと思うよ、この攻めのなり損ないサン。


まあその「なり損ない」の陳腐な言葉責めとかに若干トキめいてる私も大概アレゲなんですが。

畜生。


その他優等生ビッチと保険医、ヤリ友の同級生、卒業する先輩である部長をレイプする後輩のお話があります。ま、可もなく不可もなく。